この記事は顔の作り方②です。
第1回顔の作り方は北村蓮明さん作「不動と竜王」(2003年版) を参考にしたものでした。アレンジしすぎてあまり似てないですが。
今回は竹浪比呂央さん作、2013年の青森菱友会のねぶたである「津軽野萩ノ台合戦 奮戦 安東 堯季」の向かって右側の人物 (堯季?) の顔 (面) を作ってみたいと思います。
……とする予定でしたが、2017年度の灯雪会で作った行灯『夜泣き蘇鉄』の人間 (森蘭丸) の顔の作り方を説明します。
どうして顔の作り方をまた載せるかというと、最近顔の作り方①を参考にしているんだろうなという行灯が増えてきて、多様性がなくなってきているように感じるからです。また、①の顔を参考にしすぎているために場面や人物イメージにふさわしくないような顔になってしまっている行灯も多く、じゃあ①とは雰囲気の異なる作り方も載せておくかと思った次第であります。できれば、顔を作る過程における①と②の共通部分から、どんな顔にも対応できるような作り方・考え方を身につけてほしい (そして自分もそれを身につけたい) と思っています。
森蘭丸の面は、①とは以下の異なる点があります。
では、どうやって作ったかについて解説していきます。
※写真が全体的にちょっと暗いですが許してください!(いつか時間があったら明るくして上げ直すかも)
まずは作りたい顔がどんな人かということを調べましょう。
今回は森蘭丸ということで、「若くてイケメン」ということでした。
「森蘭丸」で画像検索してみるといろいろ出てくるのですが、
というようなイメージで作りました。
面については今回は正面と横顔しか描いていません。針金の線も特にいれていません。
この程度しか描いていませんが、これは私が顔作りに慣れているからなので、慣れていない人はもっとちゃんと描いたほうがよいでしょう。面だけではなく、頭部や喉を含めた横顔も髪も描くべきです。
その他参考画像:
ここでのコツ:
行灯では髪をなびかせると躍動感が出ます。なびかせる方向は右でも左でもランダムでもなんでもいいと思います。今回は蘇鉄の葉っぱの向きから風が左から右に吹いてそうだったのでそうしました。
顔の大きさは非常に重要で、行灯の良し悪しに少なからず作用します。
今回も失敗寸前で、面部分を70%ほど作ったところで小さすぎることに気づき、大きく作り直しました。
顔は「ちょっと大きいかな?」くらいがちょうどいいと思います。
私は顔の中心から作っていくほうがやりやすいので、縦の中心、横の中心、目の横、…という順番で線を入れていっています。
ここでのコツ:
これで針金はだいたい完成
予め本体との接合部に円を作っておき、顔側と本体側で形を揃えておきます。こうしておくと、紙を貼ったあとの接合が楽になります。
今回は頭部まで作ったので首周りの楕円形を顔側と本体側で作り、最後に接合しました。
↓ 本体側
ひたすら貼っていきます。がんばりましょう。
つらく厳しい紙貼りを終えたら、最も楽しい (と個人的に思っている) 墨入れです。
なお、ここからは説明の順序と実際にやった順序は異なります。自分がやりたい順序で行って大丈夫ですが、説明の順序で行うことを推奨します。
まずは面の下書きします。↓すこし見づらいですが鉛筆で下書きされています。
では墨を入れていきます。
(今回も前回と同様に眉毛の毛まで書こうと思い途中までやりましたが、若干失敗したのと面倒になってしまったので方向転換しました。なお竹浪比呂央さんの面は眉は毛まで書かないのでOK。こちらのほうが簡単です)
目が少し大きすぎたかなと後悔しています。
ここでのコツ:
非常に難しい工程です。私はいまだに上手くできません。
まずは薄墨でスッと引いていきます。
ここでのコツ:
今回は目以外には髪留めにロウを塗りました。
まず目の青を先に塗ります。目を先に塗る理由は、先に色を塗ってロウを入れてから他の部分を塗ることで、他の部分を塗っているときに目にまで色が染み込んでいかないようにするためです。
…が、この顔では最後にやってしまいました。実際隈取りの茶色が目に入っていると思います…。よくない。
色はあまり覚えていませんがコバルトブルーとかだった気がします。
↓これはロウを塗ったあと。
ロウを目に入れる理由は主に目に間違って色が入ってしまわないようにするためなので、最初にやるべきなのですが、なぜか最後にやってしまいました…。
ここでのコツ:
濃い茶色で塗ります。今回は茶色の色をミスりました…… (薄い気がする)。竹浪比呂央さんはニッカーポスターカラーのバントアンバーらしいので、素直にそれを使えばよかったのですが、なんでもいいかなと思いガッシュのこげ茶色でやってしまいました。
また、ここはできればぼかしを入れたいところです。
肌の色は①と同様にニッカーポスターカラーのジョンブリアン+バーミリオン、唇は適当な赤 (忘れてしまったのですがバーミリオン+カーマインだったかも) で塗りました。
予め作ってあった、顔側の境界と本体側の境界を合わせ、数カ所縫います。…縫いますというと聞こえはいいですが、実際は紙を破いて結束線でくくりつける感じです。
下のような感じです (結束線がねじねじされていると思うのですが、見えるでしょうか…)。どうせ見えないのでねじねじも外側に出ています。
このとき、顔の向きを調節しましょう。いろいろな角度から見て、最も見栄えがよくなるように配置します。
いろいろ傾けてみると楽しいです。顔がつくと一気に全体像が見えてくるので、顔作りをする人にとってはなんとも言えない瞬間です。
くくりつけたらこれで完成!
このページでは顔の作り方①とは少し異なる作り方で顔をつくりました。こちらのほうが簡単なので、こちらを先に参考にすることをおすすめします。
この顔は行灯解体時に68th大賞 (瀬織津姫) クラスの方にもらわれていきました。
よくできたので壊したくなかったのですが、もらってくれてよかったです。笑 ありがとうございました!