▼はじめに
このページを読む前に一つ考えて欲しいことがあります。
それは『なぜこのページを作ったか』ということです。
いままでの審査では、審査員は点数を入れ、その合計だけが生徒に知らされ、疑問をぶつける相手さえわかりませんでした。ですから、「審査員はどこを見てたんだ!!」という思いが浮かび、その対象を見出せず、ただ不満が募るだけでした。しかし、今年はOBOG審査が初めて取り入れられました。ですからそのメリットを最大限に生かして、疑問をぶつける先を作りたかったんです。疑問をぶつける相手がいる。それだけのことですが、かつての北高生には与えられなかった権利です。ですから、審査に対して疑問があるのでしたら、実際に疑問を(メールでも、書き込みでも)ぶつけてもらいたいです。それに対してこちらとしても本気の回答を示します。そうしてお互いに意見を出し合っていくことが出来れば、疑問の解決につながりうるだけでなく、これからの行灯というものに関しても、非常にプラスに働くのでは、と思います。
普段はなかなか出来ない、代を越えて、行灯を好きな奴らが活発に意見を交換できるような、あるいは議論を行えるような場があるべきだと思います。
正直今年の現役生がうらやましいです。そういう機会があるのですから。
そういったことを考えながら読んで欲しいと思います。
▼54th審査結果
クラス | 一般審査員 | OBOG審査員 | 合計点 | 受賞 | 一般のみ | OBOGのみ |
1-1 | 38 | 11 | 49 | | | |
1-2 | 38 | 10 | 48 | | | |
1-3 | 42 | 13 | 55 | | 銅賞 | |
1-4 | 36 | 9 | 45 | | | |
1-5 | 43 | 14 | 57 | 銀賞 | 銀賞 | 銅賞2 |
1-6 | 38 | 18 | 56 | 銅賞 | | 金賞 |
1-7 | 38 | 8 | 46 | | | |
1-8 | 39 | 17 | 56 | 審査員特別賞 | | 銀賞 |
1-9 | 44 | 14 | 58 | 金賞 | 金賞 | 銅賞2 |
2-1 | 53 | 28 | 81 | 銀賞 | 銀賞 | 銅賞2 |
2-2 | 48 | 30 | 78 | 銅賞 | | 銀賞 |
2-3 | 50 | 27 | 77 | | 銅賞 | |
2-4 | 47 | 27 | 74 | | | |
2-5 | 45 | 21 | 66 | | | |
2-6 | 44 | 20 | 64 | | | |
2-7 | 48 | 23 | 71 | | | |
2-8 | 48 | 26 | 74 | | | |
2-9 | 54 | 31 | 85 | 金賞 | 金賞 | 金賞 |
2-10 | 49 | 28 | 77 | | | 銅賞2 |
3-1 | 51 | 28 | 79 | | | |
3-2 | 56 | 26 | 82 | | 銀賞3 | |
3-3 | 51 | 29 | 80 | | | |
3-4 | 49 | 27 | 76 | | | |
3-5 | 53 | 33 | 86 | | | |
3-6 | 55 | 34 | 89 | 銅賞 | | 銅賞 |
3-7 | 57 | 36 | 93 | 銀賞 | 金賞 | 銀賞 |
3-8 | 56 | 33 | 89 | | 銀賞3 | |
3-9 | 56 | 38 | 94 | 金賞 | 銀賞3 | 金賞 |
3-10 | 59 | 41 | 100 | 大賞 | 大賞 | 大賞 |
一般審査員とOBOG審査員の比較として作ってみたのですが、ちょっと見づらいかもしれません(汗。作るのに結構かかったので許してください。
それはさておき、今年の審査について説明します。本当は受賞前に僕が話すはずだったのですが、こちらのミスでお話できなかったので。
今年は例年の『先生3名生徒2名で各20点満点で合計100点満点』という審査方式から大きく変わり、『一般審査員7名OBOG審査員5名で各10点で計120点満点』となりました(ちなみに当日お一人欠席されましたので110点満点で採点されています。また全行、学プロも120点満点なので、総合賞を決めるときには行灯の点数に12/11を掛けて採点したそうです)。さらに、いままでは一人の審査員が『勢い・迫力』『形の正確さ』『光の透け具合』『配色の美しさ』の4項目を5点満点で採点していたのに対し、今年は一般審査員は『総合』OBOG審査員は各担当の『構図』『針金』『電飾』『色塗り』『総合』にいずれも10点満点で採点しました。
ここでは一般審査員の審査については触れませんが、OBOG審査をするにあたって、ひとつ決めていたことがあります。それは差をつけるということです。うまく行ったかは正直わかりませんが、とにかくそういった考えの下審査を行ったのは確かです。
また、同点にもかかわらず受賞したクラスとしていないクラスがあっておかしいと思った方がいるかもしれませんので、それについても説明しておきます。例年ですと審査の際に審査員特別点というものを設けていて、同点の際には審査員特別点が高い作品が受賞していました。しかし今年は審査員特別点なるものが存在せず、同点の際は審査員の合議で決めると事前に言われました。そして、実際1年銅賞、審査員特別賞、3年銅賞は話し合いによって決まりました。
これから下のほうに各審査員からのコメントがありますが、どの審査員も誠意を持って真剣に審査したことは間違いありませんし、自分の採点に対してしっかりとした理由をもっています。ですから、審査に対して納得がいかなかったり、疑問があったりする場合はメールしていただければ、真剣に対応させてもらいます。
いままでの審査では点数だけもらって、講評のひとつもありませんでしたし。。。
▼構図審査担当仕事人より
クラス | 1-1 | 1-2 | 1-3 | 1-4 | 1-5 | 1-6 | 1-7 | 1-8 | 1-9 |
点数 | 3 | 2 | 3 | 2 | 4 | 3 | 2 | 3 | 3 |
クラス | 2-1 | 2-2 | 2-3 | 2-4 | 2-5 | 2-6 | 2-7 | 2-8 | 2-9 | 2-10 |
点数 | 8 | 5 | 5 | 7 | 5 | 6 | 7 | 7 | 7 | 6 |
クラス | 3-1 | 3-2 | 3-3 | 3-4 | 3-5 | 3-6 | 3-7 | 3-8 | 3-9 | 3-10 |
点数 | 6 | 6 | 7 | 8 | 7 | 9 | 7 | 7 | 7 | 10 |
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総評: 今年は例年よりも一週間早い北高祭ということで、同じだけの作業時間の確保にもかかわらず、夏休み後の作業時間数の激減、経験から予想されるペース配分の見誤りなど、大変難しいものがあったと思います。それによるものであるのか、完成度という点においては、残念ながら、完全とはいえない行灯が数多く見られました。
しかし、これは十分に予想できたものであり、現実的な状況にあわせて、十分な見通しを持って作業に望み、ペース配分を考え、完成させるだけの力量を見せてもらいたかったです。
また、決して感性や技量に依存するものではなく、堅実さに依存する、すなわちどのクラスにおいても確実に完成させておくべき電飾という点において、いくらかの拙さを感じました。人目を引く奇抜さだけでなく、確実に出来るところを確実に仕上げておくという、基本的な点を抑えておいてもらいたかったです。完璧に電気がついたときの行灯の印象は、昼にそれを見たときのものと比べて圧倒的です。電気をつけるときには、自分のクラスの行灯を担いでおり、他のクラスのものを見ることができないという状況においてはなかなか理解するのは難しいでしょうが、その影響は非常に大きいものがあります。
審査の着眼点: 構図の担当ということで、審査に参加させてもらったわけですが、全体として今年は、題材の選択と、それによる構図の選択にうまいものを感じるクラスが多かったです。よりよいものを、より印象的なものを、という意図と工夫をを強く感じることが出来ました。
審査の際に特に見させてもらった点は
・題材の選択と構図の必然性
・定められた枠内にうまく収める技術 の、二点です。一点目は、選んだ題材の特性を生かすような構図をとることができたのかどうか、とも言えると思います。単に奇抜な題材を選択することが、行灯にとってプラスになるわけではないと思います。例え、ありきたりな題材であっても、それを十分に生かそうとする工夫、うまく見せるためのアイデアのあるものには高い評価を与えようと心がけました。
二点目は、全体としてバランスがとられているか、単なる塊に終わっていないか、空間をうまく利用できているか、といったものです。行灯は三次元のものであるのですから、それをフルに利用しない手はないでしょう。空間利用のうまいクラスは、行灯全体としての迫力が違ってきます。
学年ごとの評価と、特に気になったクラスについて: 三年生は奇抜とも思われるものであっても、うまく収める技能においては、一、二年生と比べてやはり数段上にあったと思います。どのクラスも工夫が見られ、見ているだけで、非常に楽しむことができました。
2組は蝶という題材の選択において、それを十分に生かしきることが出来なかった点が大変惜しかったです。平面的にならざるを得ないという点をカバーするような構図が考案され、そして、蜘蛛の巣にかかっているという点をさらにうまく表現することが出来れば、非常に面白い行灯がが出来上がったのではないかと思います。
3組は、あと少しの表現力で大化けするような構図であったと思います。大胆にも前面に出した羽、そしてその間をうまく埋める二刀、とさらなる可能性を感じることが出来ただけに残念でした。数少ない機会の中で、大胆なものを作ろうとするのはなかなか出来ないことだろうと思います。
4組には非常に挑戦的な行灯を見せてもらいました。意図したものは大変面白く、構図を考えた人のセンスを感じました。惜しむらくは、動的な三体を完全に納めきることが出来なかったという点だと思います。あと少しの技術があれば、さらに上を目指すことが出来る、非常に惜しいと感じた行灯でした。
銅賞の
6組は迫力のある動的な構図、ラフレシア(でしょうか?)と、後部の蜘蛛の巣と木と非常に独創的で、さらにそれらがうまくまとめられていたと思います。ただ、右側の人間が塊となってしまった点、全体として右よりの構図となってしまった点から、差をつけるために9点をつけさせてもらいましたが、非常に僅差であったと思います。
大賞の
10組は人(鬼)二体を煩雑にならずに収めるために、一体を二次元から飛び出させたというアイデアが大変優れていたと思います。上部を前面に出すという方法で、迫力を出すことにも成功していました。そしてまた、それを十分に理解させるだけの針金の技術があったと思います。
ここに挙げなかったクラスは、『まとまった』構図、行灯を作り上げたクラスだと思います。正統派、といってもいいと思います。まとめる、ということですらなかなかに難しい行灯においてこれはすばらしいことだと思います。
二年生も非常に意欲的な作品が多く、構図においては三年生比べてもさほど差はなかったのではないかと思います。技術的にも高いクラスが多く、来年の行灯に期待を抱かせる、そんな学年だと思います。
1組は、右側の人(宍戸梅軒ですね)の顔が、手で隠れてしまった点や、鎌を手に握ったことでなんなのか分かりずらくなってしまった点(これは改善が難しいでしょうが)、サイズ的な問題からか、窮屈な印象を受ける点など、まだまだ改善の余地は多いと思われますが、題材の選択、迫力、納め方共に非常に高いレベルにあったと思います。
銅賞の
2組は、せっかくの蝦蟇という題材をもう少し生かすような構図を考えてほしいところでした。吸盤(指)にしろ、舌にしろ蝦蟇を生かすものはいくらでもあったと思います。それらを強調するようなものを作ることが出来ればさらに上を目指すことが出来たと思います。単なる題材の選択にとどまらず、それを選んだ必然性が見られるような行灯こそが、すばらしい構図を持った行灯だと思います。
3組と、それと
8組にも言えることですが、蛇という題材において(龍についても同じことでしょう)、その肝はいかにその曲線を表現するか、という点であると思います。それが、蛇にしか出来ない、最も強力な武器になる点だと思います。3組にはもう少しそこを生かしてもらいたかったです。
4組は、必ずしも数の増加に比例して作業が増えてはいないという構図であるにもかかわらず、見る人に『三体だよ〜』と思わせることが出来るという大変うまい選択をしたと思います。象、というのもなかなか印象的な題材であると思います。(もちろん、過去のねぶたで見たことがあるということは、ここでは大した問題ではないでしょう。それを言ったら、銀賞の児雷也も金賞の鯉も見たことがあるわけですから。・・・心境としては、まったくのオリジナルを作ってほしいですけどね。)完成していれば、賞争いに絡んできたことは明らかだと思われるだけに惜しかったです。来年に期待したいです。
6組は、麒麟という題材の選択は非常によいものであったと思います。元来複雑で独創的な形態をしているものですから、しっかりと作りこむことが出来れば、それだけで十分に面白い行灯になったのではと思います。それだけに、惜しいと感じられる行灯の一つでした。
このほかのクラスは、やはりまとまった構図を完成させたところだと思います。そこには構図においてはさほど大きな差はなかったと思います。自分たちの得意とする針金であったり、色塗りであったりを生かすことが出来る題材、構図の選択こそが、重要であると思います。9組が金賞をとることができたのは、そこに理由の一つがあると思います。配点を考えると、他の点を生かすため構図というのが正解のひとつであるということは間違いないと思います。
一年生は、さすがに構図については差はほとんど無いといっていいと思います。構図に非常にこだわったクラスというのはないのでは、と思います。今年、行灯というものがどんなものであるのかを知り、先輩方の行灯を見たことで一年後に、こういうものを作りたいなどといったイメージが生まれ、それによってより創造的な構図、行灯が生まれていくのだと思います。誰もが想像もしなかったようなアイデアが生まれてくることを期待しています。
3組の構図はなかなか面白いものがあったと思います。ただ、虎と龍以外の部分が単なる塊になってしまった点が非常に惜しかったです。ただスペースを埋めるのではなく、何もない空間をも利用するような工夫があれば、後部の龍の曲線のうまさといい、上位入賞も十分に可能だったと思います。合計点では銅賞と1点差なわけですし。来年以降に期待が持てる針金職人の存在を感じました。
銀賞の
5組の構図が僅かに一歩抜きん出ていたのでは、という感があったため、一年生で最高の4点をつけさせてもらいました。馬上というのはあのサイズで表現するのは難しいのですが、迫力もありうまく表されていたと思います。
8組は傘、木、巻物(ですかね?)と、独創性という点においては非常にセンスを感じました。題材としては、構図をうまく作ることさえ出来れば、三年生の行灯のものとしても十分に通じるものだと思います。2年後に、新たな構図でもう一度作るというのも面白いかもしれません。
同じ馬上であっても、金賞の
9組は完成度という点においては5組のそれよりも高かったと思いますが、少なくとも、顔の向きが正面(近く)になるぐらいのことは、考えてもらいたかったです。正面からでは、まったく表情が見えないというのは、もったいないです。見せるところはどんどん見せる、そういうアピールのうまさをこれから覚えていってほしいです。
一年生は、これから行灯やねぶたに限らず多くのものを見て、それらを単にまねするのではなく、自分のなかで消化、吸収し、よりすばらしいものを創るための糧としてほしいです。今年、行灯を楽しむことができた人は、きっと来年、よりすばらしいものを見せてくれるでしょう。また、今年さほど参加できなかった人にもその楽しさを伝えていくことになるのだと思います。そうして、毎年より素晴らしいものが生まれていくことを、期待しています。
▼針金審査担当ナベより
クラス | 1-1 | 1-2 | 1-3 | 1-4 | 1-5 | 1-6 | 1-7 | 1-8 | 1-9 |
点数 | 2 | 2 | 3 | 2 | 4 | 4 | 2 | 3 | 3 |
クラス | 2-1 | 2-2 | 2-3 | 2-4 | 2-5 | 2-6 | 2-7 | 2-8 | 2-9 | 2-10 |
点数 | 6 | 5 | 6 | 5 | 5 | 4 | 6 | 5 | 5 | 6 |
クラス | 3-1 | 3-2 | 3-3 | 3-4 | 3-5 | 3-6 | 3-7 | 3-8 | 3-9 | 3-10 |
点数 | 6 | 5 | 5 | 4 | 6 | 5 | 6 | 5 | 7 | 8 |
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まず講評の前にお願いです。
この講評を読んで納得いかない所は多々あると思います。できるだけ公平に審査したつもりですが、僕自身の好みもかなり反映されていると思います。
質問・疑問・文句は全て僕達審査員に言って下さい。納得がいかないからといって一生懸命作り上げた行灯をけなし合うようなことはしないで下さい。たとえ
審査結果はどうであれ、一生懸命に作ったという意味では全てのクラスが満点なのですから。
<自己紹介>
54th北高祭行灯行列のOB審査員をつとめさせてもらいました渡邊崇之です。これから審査観点と審査をして思ったことを書いていきたいと思います。
<連絡先>
聞きたいことや文句などは遠慮なく
メールして下さい。誠意をもって応えさせたいただきます。
総評: 今年の行灯の針金は職人の技術がそのまま反映されていたように感じます。針金とは一般的に何人かの職人が分担して作り上げるものだと思います。そのため、例えば顔はいいが胴体はもう少し、といった部分ごとの完成度の差ができてしまいがちです。今回はそれがとても顕著だったように感じます。
部分ごとの完成度の差というものは、審査を非常に困難にします。全体的にある程度の完成度(例えば70点)の行灯と、部分的には100点だが残りは50点の行灯を比べた時に、はたしてどちらがより優れた行灯なのでしょうか?卓越した技術を持つ針金職人がいる一方で、その技術・感性が完成した行灯の中に100%活かされていない、というのが今回の針金に関する正直な感想です。
審査の着眼点:
・意図した形に作り上げられているか?(形の正確さ・精密さ・立体感・奥行きetc.)
・針金の組み方が美しいか?(光を通した時の見え方)
特に針金の格子の密度はしっかり見させてもらいました。必要以上に針金を使わず、且つ形を十分に表現できる、そのような行灯を理想として点数をつけていきました。
針金の止め方などの細かい点はいっさい審査観点から外しています。もしそこに問題があれば、全体的に見た時に必ず不都合が生じているはずだと考えたからです。細かい技術については各世代ごとにかなりのばらつきはありますが、要は奇麗な針金が組み上がっていれば問題ないわけです。
昼間紙が貼ってあるせいで針金の詳細がよく見えない行灯でも、光りを通した時にどのように針金を組んでいるかが分かります。必要以上に針金を使ったものは、やはり幾何学的な美しさという意味では劣ります。反対に針金の枠が大きすぎる(格子の密度が低い)と立体感が損なわれます。一部に墨入れによってのみ立体感を表現しようとしていた行灯がありましたが、墨入れの前にまず針金で立体感を出すべきだと僕は思います。
1年生に関して: 今年の1年生はいろいろな意味で工夫の見られる学年でした。例年は人が1人いてポーズをとっているというものが多いのですが、今年は動物を加えていたり、小道具を加えていたり、模様に凝ってみたり、と工夫と努力のあとが見られます。
針金に関しては例年通りというか、1年生の標準的なレベルであったと思います。全体的にはまだまだ針金の密度が低く、服などの平面的な部分にいかに立体感をつけるかが来年以降の課題になるでしょう。人や動物の顔についても、イメージしていた形に作り上げられるように技術を磨いてほしいと思います。
いくつか気になったクラスをについて書きます。
1-3は岩や炎をかなり作り込んでいました。龍のうねり具合も良かったです。
1-5は顔がかなり上手く、
1-6の真っ直ぐに伸びた足の針金は美しかったです。
1-8は小道具が多く楽しませてもらいましたが、小道具に電飾が入っていないのが残念でした。
2年生に関して: 今年の2年生は非常にレベルが高かったです。特に動物(コイやガマ、象など)の技術はすばらしかったです。その一方で人のほうはまだまだ工夫の余地があると感じました。特に顔に関しては個人的にはあまり満足していません。今年の2年なら頑張ればもっといいものができたはずです。
2-2、2-4、2-8、2-9などの動物が非常に印象的でした。よくできていると感心させられました。人の顔に関しては
2-1、2-3、2-10が2年生の中では良かったと思います。
2-2、2-7、2-8の顔はまだまだ工夫の余地があります。
細かい部分では
2-1がダントツでした。これで夜しっかり光っていれば・・・残念でなりません。
2-6は服の立体感をつけようと努力していたと感じました。
来年に向けて一言いいますと、今年は技術的な面では例年以上のものを見せてくれたので、来年は行灯としての迫力・躍動感を表現できるように更なる精進を重ねて下さい。あなたたちならきっとできます。期待しています。
3年生に関して: 今年の3年生は色塗りが素敵でした。針金に関しては平均的なレベルだったと思います。
最後の行灯ということで細かい所にはケチをつけませんが、作りたい形をしっかり針金で作れているという点ではやはりほかの学年より抜きん出ていたと思います。1、2年生には行灯大賞の作品や金賞・銀賞・銅賞の作品の完成度を目指して、来年以降努力してもらいたいです。
最後に: 今年は初のOB審査員をやらせてもらい、非常にいい経験になりました。今までのようにただ道ばたで見ているのではなく、1つ1つの行灯に向きあってきっちり見ていくというのはとても面白いことです。この場を借りて感謝します。
今回は技術的な面の点数が例年よりも審査結果に大きく反映されていると感じる方もいるとは思いますが、審査員11人のなかで技術を見る人が5人しかいないこと、またその5人もそれぞれの専門に特化して評価していることを考えると、必ずしも技術重視ではないと僕は考えています。さらに言うと、技術的にしっかりした行灯でなくては迫力や存在感、芸術的な美しさを表現することはできないと思っています。
以上で講評はおしまいです。現役生のみなさん、お疲れ様でした。来年もいい行灯を作って下さい。では。
▼電飾審査担当芋兄より
クラス | 1-1 | 1-2 | 1-3 | 1-4 | 1-5 | 1-6 | 1-7 | 1-8 | 1-9 |
点数 | 2 | 3 | 2 | 2 | 1 | 2 | 2 | 4 | 2 |
クラス | 2-1 | 2-2 | 2-3 | 2-4 | 2-5 | 2-6 | 2-7 | 2-8 | 2-9 | 2-10 |
点数 | 4 | 8 | 5 | 5 | 3 | 4 | 1 | 5 | 6 | 5 |
クラス | 3-1 | 3-2 | 3-3 | 3-4 | 3-5 | 3-6 | 3-7 | 3-8 | 3-9 | 3-10 |
点数 | 6 | 6 | 6 | 5 | 8 | 6 | 8 | 6 | 7 | 8 |
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本年度、電飾の審査を担当させていただきました、51期OBの干野晃嗣です。
電飾の審査に関して総評およびいくつかのクラスに対する寸評を書きたいと思います。本当は全クラスの寸評を書きたいのですが、審査用紙に寸評をメモり、用紙が回収されてしまったため現在手元にありません。さすがに、29クラスの電飾を記憶できていないので。。。
僕が注目したのは以下の点です。
①全体的な明るさ
②光漏れの程度
③インパクト まずは
①に関して。今年は、行灯全体が光っていた作品は数えるほどしかありませんでした。基本的に僕が8点を与えているところは全体がまんべんなく光っていた作品です(あくまで審査員席で)。自分自身、3年間電飾をやっていて、全体を光らせることの難しさはよくわかっていますので。例えば、惜しくも賞は逃しましたが、
3年5組の電飾はとても鮮やかでした。行灯の進行方向に明るい色を置き、第一印象が非常に良かったと思います。
逆に、顔が光っていなかったり、主要部分(動物や人の胴体など)が光っていない作品は大きく減点しました。また、審査員席において、ほとんど光ってなかったクラスは1点です。厳しいようですが、こればかりは仕方ありません。
1点ではないのですが、
2年1組は非常に残念でした。恐らく、29クラスの中で、一番電飾に凝っていた(もちろん電飾以外も凝っていましたが。)クラスではないでしょうか。バッテリー数も3学年を通じて1番です。しかし、時間不足だったのでしょうか、審査員席前では大半の電気が付いておらず、点数が伸びませんでした。来年度のリベンジに期待します。
次に
②。今年は惜しくも完成していない作品が多く、自然と光漏れも多かったと思います。大賞を受賞した
3年10組の作品は、明るさだけでは7点だったのですが(光の通り具合はもっと悪かったという意見もあるようですが、あの濃い色をあそこまで光らせるのはそれだけでも大変なことです)、紙貼りの精度が高く、光漏れがとても少なかったため、8点にしました。
そして
③。これも重要な要素です。
例えば、
2年2組の作品。人間の明るさは物足りなさを感じましたが、蛙の電飾がとにかくすばらしかった。夜、光らせたときのことを考えた色使いは見事でした。ゆえに、この作品にも2年生ながら僕は8点を与えています。
もちろん、インパクトという点では
2年4組もあったと思います。あの象の牙の電飾は見事でした。ただ、紙はりが終わっていなくて、光漏れが多すぎたことと、光っていない(暗い)部分が多かったため、あまり点数は伸びませんでした。
今年、審査員をやってみて、一つ感じたことがあります。それは、「どんなに針金のつくりがすばらしく、どんなに色がすばらしくても、光の入っていない作品には点数が入りにくい」ということです。
注目すべきは、事前審査では誰も点数をつけていないということ(そういう決まりです)。実際に点数をつけたのは、夜の審査員席においてです。やはり、光っていない行灯は、第一印象が悪いので、針金や色の点数も入りにくいです。逆に、明るさによって審査員を圧倒し、点数が伸びた作品もあるはずです。
過去、「何でこの作品があの作品より上なんだ?」という疑問が多々あったと思いますが、その答えはこのようなところにあるのではないでしょうか。いくら昼間すばらしくても、それは行灯ではなく「張りぼて」としての評価です。
いい例を挙げると、今年のねぶた作品で、「志功画伯に捧ぐ 赫不動・青不動」 という作品がありました(HP参照)。昼間は大したことないように思えたのですが(失礼)、夜、電気が入った時には、あまりの美しさに感動しました。それだけの力が、「光」にはあるのです。
もし、機会があれば48thや49thの行灯のビデオを見てください。「電飾はこうあるべきだ!」というのがわかるはずです。変に小細工することなく、圧倒的な明るさとその美しさで見るものを魅了する、そんな行灯を来年以降期待します。ちなみに、今年の審査では、49th「シャクシャイン」の電飾を10点として採点しました。
電飾の審査に関して、個別に何か聞きたいこと、不平不満がございましたら
メールください。誠意をもって対応したいと思います。
▼色塗り審査担当めやちゃんより
クラス | 1-1 | 1-2 | 1-3 | 1-4 | 1-5 | 1-6 | 1-7 | 1-8 | 1-9 |
点数 | 2 | 1 | 2 | 1 | 3 | 4 | 1 | 3 | 3 |
クラス | 2-1 | 2-2 | 2-3 | 2-4 | 2-5 | 2-6 | 2-7 | 2-8 | 2-9 | 2-10 |
点数 | 5 | 7 | 7 | 6 | 5 | 4 | 6 | 6 | 7 | 6 |
クラス | 3-1 | 3-2 | 3-3 | 3-4 | 3-5 | 3-6 | 3-7 | 3-8 | 3-9 | 3-10 |
点数 | 7 | 6 | 7 | 7 | 6 | 8 | 10 | 8 | 10 | 7 |
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54th行灯行列の色塗りの審査をさせていただいた51期目谷可奈子です。
「色塗り」と一言に云ってますが私は以下の4つの点に注目して審査しました。
・配色のバランス
・模様・柄
・色ムラの有無
・色の透け具合 この中でも特に重要なのが「色の透け具合」でした。本審査は夜ということで「電飾を活かした色塗りができているか」が点数に大きく影響しました。
始めに点数について断っておきますが、あくまで差をつけるための採点をしたので1点から10点までありますが、1点のクラスが、目標とするところの10分の1しかできていなかったというわけではありません。この点は他のOB審査員も同様ではないでしょうか。
以下にいくつかのクラスの寸評を書きます。
まず1年生のなかで最高点をつけた
1年6組について。このクラスは使用色が非常に少ないのですが、それでも配色が全体として見たときバランスがとれていました。白地に白を塗った部分は夜光ったとき模様が浮き出たようになりなかなかの効果がでていて、白を活かした作品と云えると思います。
1年生はやはり色ムラがかなり目立ってしまうクラスが多く、さらに模様などが少ないと点数を入れにくかったです。
2年生で受賞は逃したが気になったクラスとして
2年4組。蛍光塗料の夜における絶大な威力を思い知らされました。電飾も良かったのでしょうがあんなにも光るとは。。。只、模様が少なかったことと人肌の色が薄すぎて少し迫力に欠けてしまったのが残念でした。象と虎の色塗りはよくできていて、象は肌の質感の表現に成功していたと思います。虎はベースの黄色は綺麗でしたが、時間がなかったのか墨入れが雑で勿体なかったです。
金賞の
2年9組は模様が比較的少なく、袖の部分などは工夫の余地があったと思います。魚の柄が他クラスと比較するともっと工夫できたのではないかと感じますが、それでも点数が高いのはやはり電飾を活かした色塗りであったことです。
銀賞の
2年1組ですが、色塗りで点数が伸びなかったのは、夜光ったときに全体的に暖色系になり同化してしまい配色という点でマイナスポイントになったのと、人肌が針金のマスごとに色が違いつぎはぎのようになっていたことです。しかし、武器の色使いにこだわりを感じましたし、鶴の柄を用いたのも独特で綺麗でした。
銅賞の
2年2組は配色は少し寒色系が足りない感じもしますが比較的よくまとまっています。注目すべきは蛙です。不気味な感じがすごくいいと思います。色の濃さも完璧で電飾をよく活かしていて、見る者に強烈なインパクトを与えたのは間違いないでしょう。
3年生では私は3年9組と3年7組に最高点の10点をつけています。
金賞を受賞した
9組はとにかく単色の塗り方が非常に上手かったです。今年の行灯の中で最も塗り方が良いクラスではないでしょうか。3色のグラデーションも成功していました。他にグラデーションが素晴らしかったクラスとして銅賞を受賞した3年6組があります。9組は配色のバランスもよく、かつ電飾を活かせていたと思います。正面の腕に龍を描いて積極的にアピールしたのも高得点に繋がりました。
銀賞を受賞した
7組は、ぱっと見た感じ赤、紫、青の印象が強く配色に偏りがあるようにも思えますが、このクラスも色ムラが目立たずよく光を通していたので点数が伸びました。百足は暗い色を白い文字でうまくカバーできていました。
行灯大賞の
3年10組ですが、人肌が非常にムラが目立ちました。他の部分がきちんと塗れていただけに「なぜ?」という残念な気持ちでいっぱいになりました。なにか意図していたようですが、鬼がよく光を通しているのに対し、人が暗く、ムラがあるというのはつり合っていないと判断し減点しました。ただ、配色のバランス、模様がよくできていたので7点となりました。
最後に、全体を通して感じたことが何点かあるので書きます。まず色作りに関してですが、原色ばかり使ってしまうとおもちゃっぽい印象になりがちなので、色作りにももっとこだわりを持つとよりよい行灯ができるのではないかと思います。「行灯の作り方」のページでもその重要性に少しふれましたが、例えば黄土色、新橋、ローズ、アンバーは色に深みを出すのには使いやすい色です。これはあくまで例なので、1,2年生は自分なりの色を研究していってほしいと思います。
あと意外と侮れないのが墨入れです。今年は時間不足のため墨入れが雑なクラスが多くありました。針金や色塗りなどが素晴らしくても、墨が垂れていたり雑だったりしては勿体ないです。墨入れで台無しになる危険性をとても感じました。
最近では模様や絵のレベルが高くなってきている傾向にあるように感じますが、一方で基本的な単色の塗り方がよくないのか色ムラがとても目立ちます。光ってこそ行灯なので、光っているときに色ムラが目立っては本当に惜しいです。来年は昼見ても夜見ても綺麗な行灯を期待します。
▼総合審査担当遊び人より
クラス | 1-1 | 1-2 | 1-3 | 1-4 | 1-5 | 1-6 | 1-7 | 1-8 | 1-9 |
点数 | 2 | 2 | 3 | 2 | 2 | 5 | 1 | 4 | 3 |
クラス | 2-1 | 2-2 | 2-3 | 2-4 | 2-5 | 2-6 | 2-7 | 2-8 | 2-9 | 2-10 |
点数 | 5 | 5 | 4 | 4 | 3 | 2 | 3 | 3 | 6 | 5 |
クラス | 3-1 | 3-2 | 3-3 | 3-4 | 3-5 | 3-6 | 3-7 | 3-8 | 3-9 | 3-10 |
点数 | 3 | 3 | 4 | 3 | 6 | 6 | 5 | 5 | 7 | 8 |
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54th行灯行列のOB審査員をやらせていただいた51期本間達也です。
審査方法について: 僕は『総合』担当ということで、完成度を重視し、ほかの4人にもまして、差をつける審査を心がけました。つまり、各学年の1位と大賞ははっきりさせておきたかったのです。具体的に僕がつけた点数を見ていただくとわかると思いますが、1年生なら6組、2年生なら9組、3年生なら9組、10組のように同学年で同じ点数をつけず、自分がここが大賞、金賞と思ったクラスに差をつけ明確に示しました。つまり誰が見ても『ここのクラスが大賞、金賞だ』と納得のできる結果にしたかったのです。
さらに差をつけることに関して、僕は審査するとき、各学年ごとに採点しました。つまり1年生で5点をあげたクラスと3年生で3点をつけたクラスでは、『5点のクラスのほうが上』ということではないのです。これに関してはたとえば2年生全クラスに3点を足し3年生全クラスに4点を足す、のように考えるとわかりやすいです、あくまでこの審査は学年内の差を表したものなのです。
さらによく見てもらうとわかりますが、最初から各学年の最低点は1点2点3点にしようと思っていました。そこからどれだけ差があるかということが僕の採点方法です。ですから『5点のクラスは1点のクラスの5倍上手なのか?』ということではありません。あくまで差なのです。ですから1点と5点では確かに5倍の点数ですが実際は11点と15点かも知れないということです。
ここで一つ当然の疑問が生じるかもしれません。それは『この審査方法じゃ1,2年生が行灯大賞取れないじゃないか?』ということだと思います。結論から言うと1,2年生でも大賞はとれます。当然該当クラスがあればそのクラスに一番高い点数を入れます。前にも書いたように『誰が見ても大賞だ』というクラスが大賞を受賞することを常に頭において審査してましたから。
『なぜ10点をつけなかったんだ?』と思う方がいるかもしれません。確かに僕の審査は差をつけることが目的だったので3年生全クラスに2点足して提出しようかと思いました、実際行灯大賞に10点つけるつもりでしたし。しかし3-10の行灯が光っているのを見て、そして肌色のミスを見て、10点はつけられませんでした。あの8点は、一般審査員とは違い3年間行灯を作り続けた僕のこだわりです。
審査観点について: では、どこをみてその差をつけたのか、ということです。ほかの4人と違い『総合』というアバウトな分類だったので、特にどこを注目したということもありませんし、どこを見落としたということもありません。集合時刻より早く行って事前審査の時間もしっかりみましたし、そこで見たことと、審査員席前での印象をもとにつけました。強いて言えば完成度を重視しました。どんなにきれいに色が塗られていても横から電球が丸見えの状態では高い点数はつけられませんし、逆に光漏れの無い行灯はとてもしまって見えましたので高い点数をいれました。
いくつか気になったクラスについて: まず1年生。
6組には最高点をつけさせてもらいました。最初に見たときに、柄、塗りともに高いレベルにあると感じました。そして白地に白の柄を塗るというアイディアは1年生とは思えないすばらしいものだと思います。ただ、白い部分はロウを使うともっと光を通しきれいだったと思いますし、もっと空間を使えていればよかったと思います。そして、今年は唯一このクラスだけだったフラッシュ。1年生でよく果敢にチャレンジしたと思います。審査員関前で見事に成功しておりとてもきれいでした。来年に期待です。
3組の行灯は正直何故賞に入らなかったのだろうという感じです。空間をいっぱいに使った行灯は、やはりとてもしまって見えました。紙張り面積も多く苦労の跡が伺えました。さらにトラがすばらしかったです。トラ全体を作った行灯であそこまで上手にできている行灯はなかなかありません。針金職人の存在を感じました。ただ、トラが良かった分龍が弱かったような気がして残念です。
そして全体として今年の1年生は例年よりレベルが高かったように感じました。それだけに支柱やバッテリーが見えているのが残念でした、来年はそういったところも考えて、2,3年生の技術を盗みながら、自分なりの行灯を目指して欲しいと思います。1年生から2年生になると行灯は飛躍的にレベルが上がります。来年もがんばってください。
次に2年生。
正直2年生が一番審査が難しかったです。
1組ですが、まず第一印象が鎖ですね。鎖はアイディアもすばらしかったし、ほんとうにじっくり針金を見させてもらいましたが、非常に丁寧に作られていました。帯や着物の裾の立体感はすばらしかったと思います。ただ、それだけに向かって左側の人の右手、右側の人の顔が手に隠れていることが非常に残念でした。手も顔も持ち帰りパーツですからそれを本体と違和感無くあわせることの難しさを思い出しました。ただ、手に関しては爪までしっかり針金で作りこんであるのは非常に好印象でした。今年は爪を針金で作らず、ただ書いただけとか、紙を張っただけという行灯が多かったです。そしてやはり凝った電飾。全部ついたところが見たかったです。ほんとうに残念。
2組は昼に見たときは、蝦蟇の目の周りの蛍光色と、スプレーで塗られた(と思います)赤がよるどうなるかと思っていたのですが、大成功していました。9組もそうですが、あえて動物を人物の方に向けず、進行方向にむけ、電飾、配色でアピールするというのはとても強烈に印象に残りました。本当に夜に光った蝦蟇の眼の周りの蛍光色はみごとでした。それだけに人が残念でした。動物を進行方向に向けたためか、やはり、作品としての一体感に掛けたと思いますし、蝦蟇に対して人のほうが雑だったという印象がぬぐえません。蝦蟇をあそこまで仕上げる力があるのですから来年は大いに期待できると思います。
4組は完成させることの難しさを痛感させてくれました。人1動物2の計3体と豪華なとりあわせで、たいてい何体か作ると針金が安定せず、どれかに違和感が生じるものですが、この3体はいずれも針金がしっかりしていて、針金職人の存在を大いに感じさせてくれました。針金については、なんといっても象の鼻でしょう。非常にきれいでした。支柱も無いわりに全くゆれていませんでしたし、なぜかと思ってみてみると針金を2本使って作っていたように見えました。この手法はこれからも使われていくのではないでしょうか。塗りに関してもやはり象ですね。色の濃さを変え太目の筆(はけ?)で塗り重ねる方法は、象の質感を非常に見事にだしていました。これがただ灰色の単色で塗られていたらこんなにしまって見えなかったでしょうし。象の牙の電飾は見るものをひきつけました。ただ象がいいだけに虎が残念でした。時間がなかったのだと思いますが、やはり墨がたれていると印象は悪くなりました。ギャラリーの画像は後日完成したものですが、行灯に『もし』は無いのですが、やはりもし完成していたら…と残念です。ただこの経験は絶対にプラスになると思いますので来年はさらに上の行灯を目指してがんばってほしいです。
やはり行灯は光ってこそなんだと感じさせてくれたのが
9組です。2組のところでも触れましたが、進行方向に魚を向けることで強烈にアピールすることに成功していました。やはり光ったときの水にはただならぬ破壊力があります。魚の目の部分は面白いなぁと感じました。てっきり半球状に作ってあるのかと思ったのですが、よく見るとちょうちんの底のような感じに作ってありました。これもあまりみたことがなかったのと、魚の目を表現するにはうまい手段だと思いましたので印象に残りました。ですが、やはり昼に見るとつくりの甘さ、柄の少なさ、墨入れの弱さなどの課題が見えてくると思います。来年はそういった点もこだわって欲しいと思います。
10組ですが、4組のところでもふれましたが、顔を3つも作るということは非常に大変なことです。作り手が変わると針金が安定しないし、一人で作るとさすがに3つは厳しいでしょう。ですが、このクラスはこの顔3つがいずれも高いレベルで安定していましたから非常に好印象でしたので学年2位の点数をつけました。特に黒の使い方がうまく、締まって見えたという点では全学年でも1,2を争うほどだったと思います。そして題材、タイトルもよかったですし、炎を前面に押し出し、題材を十分に生かせていたと思います。炎の塗りも見事でした。ただやはり、炎にスペースをとられ、全体として薄っぺらくなってしまった感があります。もっと右ひじを引いて、こぶしを前に出すなどして前後の空間を生かして欲しかったと思います。
2年生全体としては、やはり過去最高だったのではないかと思います。去年の1-9の行灯を見たときに来年は2年生が熱いとおもったのですがそのとおりになりました。こうなると来年が楽しみでしょうがありません。ぜひ過去最高の3年生、そしてあのシャクシャインを超える作品を目指してがんばっていただきたい!!
最後に3年生。
大賞の
10組ですが、針金のレベルがたかく、柄も美しく、まさに後輩があこがれるような行灯大賞だったのではないでしょうか。まずなんといっても見た瞬間に印象に残る人の顔。ギャラリーの画像を見てもらえばよくわかると思いますが、この立体感!!ここまで立体感のある顔は正直初めて見ました。素直にすばらしいと思います。そして2次元と3次元の融合ともいえる作品で、行灯の新たな可能性を提示してくれたのではないでしょうか。僕が注目したのは掛け軸のふちの柄と、左手の玉ですね。実際に掛け軸のほうは触ってみたのですが、普通の紙とは違う光沢のある紙を使っているように見えました。模様もこまかく模様のずれも気になりませんでした。左手の玉ですが、電飾も大変みごとで、非常に明るく、よく光を通していたことがよく印象に残っています。そして、この玉の針金がすばらしかったように思います、うまいたとえが思いつかないのですが、輪をうまくつかっていたなぁと。ただ、やはり残念だったのが夜の肌色ですね。審査員席で見て、狙いなのかミスなのか正直わかりませんでした。色塗りの審査員にもきいたのですがやはりミスだろうという答えでした。暗めにするのが狙いだったのなら、ムラになっているのはおかしいと。あれは狙いだったようですが、それが見ている人に伝わらなかったという点でミスだったのではないでしょうか。あとは右手首でしょうか。上の方でも書きましたが、お持ち帰りパーツと本体の接合は難しいということでしょうか。どうしても違和感を感じました。あえてマイナスポイントを書きましたが、やはり一つ飛びぬけていた感がありました。文句無く大賞です。
金賞の
9組ですが、このクラスは塗りの技術がおそらくトップだったと思います。塗りは単色を見ればわかるといいますが単色でほとんどムラがわかりませんでした。文系クラスということもあるでしょうが、それでもやはり多くの色塗り職人の存在を感じました。そして、電飾も安定していて、羽のグラデーションが鮮やかでした。さらにこのクラスの色塗りのよさを感じるのが、中央の龍、鳥の鱗、力強い墨入れです。後で聞きましたが中央の龍は全くのオリジナルだそうで、絵もさることながら塗りも非常に雰囲気が出てました。鱗については、模様のずれがないこともさることながら、首の部分から腹にかけて鱗が大きくなっている点に製作者のこだわりを感じました。こだわりといえば人の髪もそうだと思います。多くの行灯は人の顔にかぶらないように右側になびかせますが、この行灯はきっと後ろの鳳凰の羽ばたきで起こった風でこのように髪がなびいているのでしょう。少なくとも僕はそう解釈しました。残念だった点は裏の作りこみの甘さと、内側の羽がただぶら下がってるだけに思える点です。ですがやはり金賞の名に恥じない作品だと思います。
銀賞の
7組は、百足という題材が面白いことはもちろんですが、しっかりその題材を生かせていたと思います。そしてやはり目をひくのが百足の模様として文字を使ったことでしょう。以前にも文字を模様として使った行灯はいくつかありますが、ここまで前面に押し出した行灯は無かったでしょう。そして、それがさらに百足の不気味さをつよめ、白い文字で書くことで、暗くなってしまうという欠点を補っていると思います。この手法はこれからも使えると思います。黒で文字を書いていたらここまで印象に残らなかったでしょうし。残念だった点は、両側の2体に対し、中央の百足が弱かったことと、墨入れをおこなってほしかったこと、手甲と服の境目をしっかり針金で作って欲しかったことでしょう。この作品もう一つ注目すべき点は、百足の目にセロファンを使用していることです。これを良しとする方々もいると思いますが、僕はあえてこれはよくなかったと思います。それは、北高の行灯としてということです。ほかにもいくつかの学校で行灯行列というものがあります、それらのなかにはセロファンを多用し、ステンドグラスのような行灯もあるのです。ですから、北高は正統派行灯を目指して紙で作って欲しいというのが僕の思いです。ただ、これは僕の個人的な意見ですし、時代とともに変わってくるものですし難しいことだと思います。
銅賞の
6組。個人的には激しく思いいれのある作品です。というのも僕が3年の時に(しかも6組でした)作った行灯が蜘蛛だったからです。結論から言うと、非常によかったと思います。まず構図がすばらしい。蜘蛛を作るにはまずネックとなるのが8本も足があるということです。それらをすべて見せようとすると、腹を見せて足を広げた形にせざるを得ず、空間は使えるが、肝心の蜘蛛なのかどうなのかがわからなくなってしまう。しかしこの6組の蜘蛛はあえて、向かって右側の足を全部は作らず、蜘蛛の胴体を小さくすることで、蜘蛛とわかりやすいこの構図を作っています。このアイディアはすばらしい。蜘蛛、人、木とクロスさせているのも見事です。そして蜘蛛の配色もすばらしい。『蜘蛛=暗い』というマイナスポイントを微塵も感じさせませんでした。さらに節を作らずグラデーションにしたことも、見た目の鮮やかさと時間の短縮に一役買っていると思います。残念だった点は、というかもったいなかったのは木ですね。非常に塗りも感じがでていて、作りもしっかりしてたのに、裏から見ないとほとんど見えないというのは、実にもったいない!!実際裏からの画像もギャラリーに載せてありますが、これだけ裏まで作りこんである行灯はめったにありません。裏だけなら1,2番に入ったと思います。蜘蛛の完成形をここに見たような気がします。
そして
2組ですが、蝶をメインにつくった行灯は初めてだったのではないでしょうか。蝶の配色はみごとで、塗りもなかなかで好評だったと思います。ですが、横から見たとき向こう側が見えてしまうほど紙が張り終わっていなかったので、高い点数は入れることができませんでした。完成していたら…とおもうと実に残念でした。今年『子○』を作っていたのはこのクラスだけだと思いますし(蝶の子供は毛虫だというツッコミはなしで)。
3年生全体としては、事前には「今年は2年が大賞をとる」という声がよく聞こえましたが、実際見るとそんなことはありませんでしたしレベルも高かったと思います。そして何より自分たちの主張がしっかりできていたように思います。これが作りたいんだ!という気持ちがよく伝わってきました。後輩があこがれるような行灯を残したと思いますし、これからはOBOGとして行灯を見守っていきましょう。お疲れ様でした。
54thの行灯について: ここからは審査員としてではなく、ただの行灯好きとして書かせてもらいます。
まず日程が変わって初めての年ということもあってか、完成している行灯が例年より少なかったように思います。まぁ何をもって完成とするかは難しいところですが、ここでは目立った光漏れも無く、しっかり電飾がついた状態とします。本当に少なかったです。来年もまた学校祭が夏休み後に行われるという保証はありませんし、今年以上に厳しくなるかもしれません。今年完成にこぎつけれなかった1,2年生のクラスは来年ぜひがんばっていただきたい。
作品からはちょっと離れますが、今年は例年よりもはるかに掛け声が良かったと思います。実際審査をしていて最初に思ったのが『今年は元気があるなぁ』ということでしたし。ねぶたでもそうですが、やはり担ぎ手に元気があり活気がある行灯は見ていて楽しいものです。
あと、気になったのが、バッテリーや支柱を全く隠そうとしてない作品があったことです。やはりどんなにすばらしい作品で、見ている人を引き込んだとしても、バッテリーや支柱が見えてしまうと一気に現実に戻されてしまう気がします。なるべく隠すようにしましょう。
激しく個人的なことになりますが、今年の3-6の蜘蛛は51stの3-6の蜘蛛より、構図といい配色といい、はるかに良かったと思います(笑
審査をしてみて、来年の参考になりそうなことについて: ・審査員席前はゆっくり歩くこと
・進行方向を考えること
・事前審査では審査員は点数を入れられない
・電飾が成功すると激しく好印象。逆もまたしかり
・凝って作ったものは前面におしだすこと
・ココをみてほしい!!というところをしっかりアピールすること
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