55thOBOG審査員より

55th行灯OBOG審査員より

~審査員はココを見ていた!!~









はじめに。




このページを読む前に一つ考えて欲しいことがあります。



 それは『なぜこのページを作ったか』ということです。



 いままでの審査では、審査員は点数を入れ、その合計だけが生徒に知らされ、疑問をぶつける相手さえわかりませんでした。ですから、「審査員はどこを見てたんだ!!」という思いが浮かび、その対象を見出せず、ただ不満が募るだけでした。しかし、今年はOBOG審査が初めて取り入れられました。ですからそのメリットを最大限に生かして、疑問をぶつける先を作りたかったんです。疑問をぶつける相手がいる。それだけのことですが、かつての北高生には与えられなかった権利です。ですから、審査に対して疑問があるのでしたら、実際に疑問を(メールでも、書き込みでも)ぶつけてもらいたいです。それに対してこちらとしても本気の回答を示します。そうしてお互いに意見を出し合っていくことが出来れば、疑問の解決につながりうるだけでなく、これからの行灯というものに関しても、非常にプラスに働くのでは、と思います。

 普段はなかなか出来ない、代を越えて、行灯を好きな奴らが活発に意見を交換できるような、あるいは議論を行えるような場があるべきだと思います。

 正直今年の現役生がうらやましいです。そういう機会があるのですから。



 そういったことを考えながら読んで欲しいと思います。



55th審査結果













 

画像(夜)クラス 一般審査員 OBOG審査員 総点 総得点(総点÷7-減点) 受賞 一般のみ OBOGのみ
1-115810926738   
1-220013733748銅賞  銅賞 銀賞 
1-318111829943    
1-419612532146    
1-517610828441    
1-618312430741    
1-718111329442    
1-820115735851金賞  銀賞 金賞 
1-921412934349銀賞  金賞 銅賞











画像(夜)クラス 一般審査員 OBOG審査員 総点 総得点(総点÷7-減点) 受賞 一般のみ OBOGのみ
2-127923251173銀賞   金賞
2-227017444463   
2-328118346466   
2-428117545665   
2-528520148669   
2-628819248069  銅賞 
2-730320550873銅賞  銀賞 銅賞
2-828719147868 
2-931620752375金賞 金賞 銀賞


画像(夜)クラス 一般審査員 OBOG審査員 総点 総得点(総点÷7-減点) 受賞 一般のみ OBOGのみ
3-134928663591銀賞  銅賞 金賞 
3-234524659184    
3-336025761788銅賞  金賞  
3-435123758884    
3-532523455980    
3-636328564893大賞  大賞 銀賞 
3-735628764392金賞  銀賞 大賞 
3-834425159585    
3-933723957682    
3-1034426961388審査員特別賞 銅賞 




OBOG審査員が加わってから今年で二年目となりました。

去年は、『一般審査員7名OBOG審査員5名で各10点で計120点満点』となりました(ちなみに当日お一人欠席されましたので110点満点で採点されています。また全行、学プロも120点満点なので、総合賞を決めるときには行灯の点数に12/11を掛けて採点したそうです)。一般審査員は『総合』OBOG審査員は各担当の『構図』『針金』『電飾』『色塗り』『総合』にいずれも10点満点で採点しました。


今年は『一般審査員4名・OBOG審査員3名(53期行灯大賞クラスから選出)で各100点で採点し、その総点(700点満点)を7で割り(小数点以下四捨五入)、減点分を引き、最終的に100点満点の点数となってます』。(100点満点になった主な理由は去年の10点満点では差がつかなかったからです)。


今年は7人が以下のように、同じ5つの審査基準(実行委員が話し合って決められたもの)に従って審査しました。

【審査基準】

1、行灯の題材(10点)

独創性・ユーモア性のある作品かどうか

2、行灯の構成(30点)

形が正確で、行灯の配置が的確かどうか

3、行灯の美しさ(30点)

電飾及び配色や模様が美しいかどうか

4、総合(25点)

勢いや迫力があるか、また芸術性があるかどうか

5、クラスの雰囲気(5点)

クラスが一体となっているかどうか、また見ている側も盛り上がれるかどうか(衣装は対象外とする)





55thOBOG審査員『仕掛人』の講評



クラス1-11-21-31-41-51-61-71-81-9
点数445547494550456146
クラス2-12-22-32-42-52-62-72-82-9
点数706157586562676166
クラス3-13-23-33-43-53-63-73-83-93-10
点数97849077779994858288




・3年総評

「今年の三年生はレベルが高い」…これは誰もが予想していた事でしょう。何故なら53rd一年金賞の学年の職人達が三年に成長したわけですから。そしてその予想通り、今年はあれだけ多くの名作がズラリと誕生しました。過去の作品を見ても、全体的なレベルがこれほど高い年はなく、今年の55th3年生10クラスは歴代最高学年だったと言えると思います(少なくとも過去13年間の中では)。
個人的にははっきり言って、事前審査で見て回った段階で既に『今年の審査は有り得ないほど難しすぎる』と感じ、夜光った時の審査終了後に至っては『こうなったら三年生全クラスに行灯大賞をあげて、事を済ませよう』とすら思いました(爆)。それくらいレベルが高かったです。まさに審査員泣かせでした(嬉しい事なのですが)。どの審査員の方々も悩みながら必死に審査していたようです。特に大賞・金賞・銀賞・銅賞に関してはほとんど差がないと思います(ちなみに審査員7名のうち、6名のつけた上位4クラスの順位がそれぞれ異なっているほどです)。
ところで、文系クラスは紙塗りの女子の人数が多いので例年通り『紙塗り』のレベルが高かったのですが、予想外に『針金』・『電飾』のレベルも非常に高く、完成度としては理系クラスとほぼ互角でした。もはや『行灯は理系がやや有利』という定説は崩れ去ったのではないかと思いました(女子の針金職人のレベルがここ数年で急上昇してますし)。



3-1
もしこの作品が違う時代に生まれていたら間違いなく大賞を取っていたでしょう。それくらい素晴らしかった。『人・龍・鳳凰の見事な構図』・『鳳凰の羽のグラデーションの美しさと電飾の光』・『完璧な電飾』・『無駄のない針金』が素晴らしかったです。「こんなに明るい行灯は見たことがない」と圧倒される審査員も多かった(僕もその一人です)。これほど電飾が完璧に成功している行灯は珍しく、シャクシャイン(49th大賞)・ナタク(51st大賞)くらいしか過去に前例がないと思う。とにかく電飾が行灯行列史上でも最強レベルだった。また、超難題とも言える人・龍・鳳凰という構図でのこの見事な成功ぶり。三体もあると、狭くて窮屈になる可能性があるが、この行灯は空間の使い方・構図の使い方が巧みであり、勢いと迫力がある。これには圧巻だった。また三つも顔あれば失敗してしまうリスクが高いのだが、龍も鳳凰も人も全ての顔が大成功している。針金は全ての部分が丁寧で精密なつくりになっている。特に裏側の鳳凰の羽の精巧なつくりには感動した。針金には無駄がなく、必要最低限で最大の効果をもたらしてあるために、夜電飾が光ったときにアレだけの美しさが出たのであろう。間違いない。ただ一つ残念だったのが人の服と龍の色がどちらも青系の色で被ってしまっていたところです。服の柄も美しかったですし、龍の色も完璧だっただけにそこが少し盲点だったのではないかなと。



3-2
もしこの作品が違う時代に生まれていたら間違いなく何らかの賞を獲得していたでしょう。それくらい素晴らしかった。文系クラスとは思えないほど完成度が高い。文系というと、例年針金と電飾でやや弱い傾向があるが、これは理系クラスに全く引けを取っていない。それどころか優っているかもしれない。紙も塗り方にムラがなく、非常に良く透けていたので、電飾はたぶん3-1の次くらいに明るかったと思う。構図も、鬼が人の腕を掴み、人が鬼の頭を掴むという絡みが素晴らしい。本当に鬼と人が戦っているような躍動感がある。そしてこの行灯を見て一番感動したのが『この左手の剣の握り方』である。これほど力強く剣を握る手は見たことがない。ただ右足のかかとがないのが少し気になった。色に関しては、『服の柄』・『炎グラデーション』が素晴らしかった。文系とは思えないほど針金・電飾・配色・構図の完成度が高かった。



3-3
もしこの作品が違う時代に生まれていたら間違いなく大賞を取っていたでしょう。それくらい素晴らしかった。特に、『人・虎・蛇の構図』・『虎の迫力』・『虎と蛇の模様』・『柄・絵の美しさ・豊富さ』・『人・虎・蛇、三つ全て大成功している点』が本当に素晴らしかったです。蛇・虎・人の超難題とも言える構図でこれほど成功しているとは、まさに圧巻。三つも顔を作ればどれかは失敗してしまうリスクが高いのですが、このクラスは三つとも見事に成功させている。『人・虎・蛇の顔の針金のつくり』・『虎と蛇の模様』に関しても神業としか言いようがない。特にこの虎に関しては『過去の虎の中で最高傑作なのでは?』との評判が高く、間違いなく行灯の歴史に名を刻んだ虎であろう。また三体だと狭くて窮屈になる可能性があるが、この行灯は空間の使い方・構図の使い方が巧みであり、勢いと迫力が出ていた。絵や柄も豊富で、蛇が巻きつく発想・右手で握る発想も素晴らしかった。 ただ、電飾で左手と顔と蛇の頭が暗かったのが残念でした。今年は電飾のレベルが高かっただけにそこの部分で少し減点せざるを得ませんでした。



3-4

もしこの作品が違う時代に生まれていたら間違いなく何らかの賞を獲得していたでしょう。それくらい素晴らしかった。非常にダイナミックで、体積が本当に大きくて迫力があった。電飾も明るかった。剣の蛍光灯は特に明るかった。このクラスも総合的な完成度は高かったと思う。



3-5
もしこの作品が違う時代に生まれていたら間違いなく何らかの賞を獲得していたでしょう。それくらい素晴らしかった。この顔の表情が非常に巧みでオリジナリティがある。楽器を持つという発想も素晴らしく、ちゃんと電飾も成功させていたのでインパクトがあった。服の柄はさすがは女子の多い文系クラスということで非常に美しく・鮮やかだった。とても華やかな行灯だった。



3-6
『完成度の高さ』・『色の美しさ』・『針金の正確さ』・『紙貼りの丁寧さ』において、今年の行灯の中で最も優れていました。そういう意味で文句なしの行灯大賞だったと僕は思います(三年生は本当にレベルが高く僅差でしたが…)。針金は全体的に丁寧かつ正確。特に手・足・顔は今年の中で最も正確で丁寧なつくりだった。これほど丁寧なつくりの手足顔は過去にも見たことがない。ギャラリーにある左足を見てもらいたい。一瞬規格オーバーしているかのように見えるが、実はこれは予め小さめに土台を作っておき、この土台に足の指を絡ませ、足で踏ん張っている所を表現しているのである。このアイディアと表現力には感動した。これにより力強い左足となっている。墨入れも完璧だった。電飾は全体的にしっかり光っていた。蜘蛛は色・電飾があまりにも難しい。ところがこのクラスは、黒とオリジナリティあふれる奇抜な柄のおかげで大成功だったと思う。夜光ってもメリハリがあって素晴らしかった。作戦勝ちとはまさにこのこと。だが、人の肌色の明るさが物足りなかった気がしてしまった(この行灯を見る前に1組の有り得ないほど明るい電飾を見せ付けられていただけに…)。紙塗りは歴代最高レベルと言って過言ではないでしょう。一般的に使う紙とは違う高級紙を使ったらしいが、言うまでもなく、それを凌駕するだけの高い塗りの技術も備わっていたからこそ成功できたのだと思う。特にロウの使い方が神業で、裏の絵・腕の龍・炎のグラデーション・服赤と黒の柄etcで使っている。ロウを塗った部分と、普通に色を塗った部分の光の透け具合に微妙な差が出て、これが何ともいえない絶妙な光のコントラストを奏でている。それがどれほど美しいものであるかは裏側の絵を見れば一目瞭然であろう。まさに神業。この写真を見て『くっそー裏が光ったところもぜひ生で見ておけばよかった…』と本気で悔やむ人も多いのではないだろうか(ま、審査の都合上、表しか見れなかった僕のことですが(泣))。あと、ギャラリーの中にある『赤と紫とロウの柄』が光ったときに最高で完璧でした。とにかく本当にこのクラスの紙塗りの女子には脱帽でした。この作品の素晴らしい出来栄えを見て蜘蛛の生みの親である遊び人(初代管理人)さんはマジで号泣したらしいです。
ただ、以上で述べた部分があまりに優れていて素晴らしい出来だっただけに、行灯評論家としてついつい要求したくなる部分も出てしまいました(あくまでも個人的な意見ですので読み流してください)。まず蜘蛛を貫いた剣。発想は素晴らしいんですが、例えば蜘蛛の体液・血を剣に付着させる等のもう少しリアリスティックな生々しさが欲しかった(もちろん優秀な職人である彼らならその辺については十分検討したと思うけど)。実際に蜘蛛を剣で貫いたらべっとりと生々しい血や体液が付着するはずなので、僕個人としてはどうもイマイチ蜘蛛が剣で刺されている感じがしなくてそこが残念でならなかった(しかもタイトルが『土蜘蛛死ス』なだけに…)。あともう一つ、右手の蜘蛛の足を掴むという発想も素晴らしいのですが、この右手がどの方向に動いているのか分からなく、手前に引いているのか?、押しているのか?、それとも蜘蛛の足を引きちぎろうとしているのか?…この辺がいまいち伝わりませんでした(これもかなり個人的な意見ですが)。



3-7
審査員によっては大賞でもおかしくなかった。もしこの作品が違う時代に生まれていたら間違いなく大賞だったと思う。それくらい素晴らしかった。具体的には、『顔の針金・墨入れ』・『龍の針金の迫力・正確さ』・『髪の墨入れ』・『人と龍の流れるような自然な勢いと迫力』・『青い波の美しいさ』が特に素晴らしかったと思う。特にこの顔に関しては『最も強いと書いて最強』だった。本気でねぶた大賞をあげたかった。この顔の迫力は間違いなくねぶたの領域に達してます。むしろ超越しています。波も非常に難しいのですが、見事に成功しています。ナタク(51st大賞)と少し似ている気がする(?)が、構図的にはこちらの方が優っていると僕は思う。この『人と龍の流れるような自然な勢いと迫力』には感動した。あと右手の剣の握り方が49thシャクシャインっぽくて個人的に好きです。ただ残念ながら龍・左手の電飾がやや暗かった。今年は電飾のレベルが高かっただけにそこが少し減点せざるを得ませんでした。でもあの龍の『濃い配色』・『細かくて複雑な構造』にも関わらず、これだけ光らせるだけでも素晴らしいですし、至難の技だとは思うのですが。
最後に。個人的にMAROの「ラッセーラー」の掛け声がマジで熱くて最高だった。これまでMAROとは行灯について熱く語り合った仲だが、彼ほど行灯に熱い漢は生まれて初めて見た。審査員であるこっちが全身ヤケドを負うほどに熱くて最高のライブだった。感動をありがとう。



3-8
もしこの作品が違う時代に生まれていたら間違いなく何らかの賞を獲得していたでしょう。それくらい素晴らしかった。妖狐がかもし出す奇妙で幻想的な世界観に引きずり込まれた。妖狐を取り囲んでる周りの部分が素晴らしかった。そしてこの妖狐と、人の雰囲気が非常にベストマッチしていて、この二者が一つの作品としての一体感がある。人の頭もオリジナリティがあってよかった。人が手に持って読むというアイディアも非常に素晴らしかった。このクラスも文系とは思えないほど電飾と針金のレベルが高く、針金・電飾・色塗り・構図と、総合的完成度が非常に高かった。



3-9
もしこの作品が違う時代に生まれていたら間違いなく何らかの賞を獲得していたでしょう。それくらい素晴らしかった。事前審査で見たときは服の色が全体的にやや濃い感じだったので、夜光ったきに透けるかどうか心配だったが、予想以上に光がよく透けていて非常に綺麗だった。紙も塗り方に全くムラがなく、さすがは紙塗りの女子が多い文系クラスだと感動した。特にこの『茶色』がここまで美しくムラなく塗られた作品は過去においても珍しく、かなり腕の優れた紙塗り職人の女子が居たのだと思う。間違いない。『胸の茶色と白の模様』・『腹部の龍の絵』・『波斯の薔薇の絵』も芸術的で素晴らしかった。特にあの薔薇は絵とは思えないほど美しく、まるで本物の薔薇が浮かび上がっているのではないかと錯覚するほどリアルで美しい出来栄えだった。弓矢を引っ張るという発想も素晴らしかったが、前からでは少し分かりにくかった(裏側を見れば分かりやすかったが)。このクラスも特に目立った失敗がなく、針金・電飾・色塗り・構図と、総合的完成度が非常に高かった。



3-10
もしこの作品が違う時代に生まれていたら間違いなく大賞を取っていたでしょう。それくらい素晴らしかった。審査の集計結果が審査員に渡されて、このクラスが受賞してないのを知り、「是非このクラスに審査員特別賞をあげましょう!」と強く推薦したのは実は僕でした。これほどの力作・傑作でありながら賞に入らないのはあまりに可哀想だと思ったからです。すると他の審査員の方々もすぐ賛成してくれました。それほどこの行灯は、このクラスの職人の拘りと苦労そして情熱が伝わる作品でした。例えば、『修羅の顔が三つもある』・『手足もたくさんある』・『鬼のスケールが大きい』etcと特に針金の面で相当努力したのだと伝わりました。そのおかげで迫力・勢いが出ている素晴らしい作品に仕上がっていたと思います。電飾も見事でした。



・2年総評

今年の二年生は『針金』・『電飾』・『色』のレベルが全体的に高く、審査員の審査が個人個人でかなり割れた。『毎年最も審査が難しいのは実は二年生である』と言われていて、今年は特にそうだった。どの行灯もそれぞれ『多くの長所』&『僅かな短所』を含んでいて、本当に優劣がつけにくかった。審査員によってはどのクラスが受賞してもおかしくなかったと思います。何とも言えません。とにもかくにも、「来年の三年生は非常に期待大だ」と言う事だけは今ここではっきり断言できると思いますが。



2-1
『針金』・『電飾』・『配色』・『構図』全てにおいて二年のレベルを超越していた。ひょっとしたら三年よりも上手いかもしれない。特に、『人二体でこれほど迫力と勢いのある構図』・『針金の正確さ・迫力』・『裏側の細部にわたる作り込み』・『柄の美しさ』・『裏の龍の絵』・『電飾』が素晴らしかったです。人二体の行灯は過去に幾つかあるんですけど、正直言ってその中でも最高傑作だと思います(もちろん過去の三年作品も含めて)。結果的に賞の色がどうだったという次元を越え、この行灯を見た誰もが感動したことでしょう。来年も期待してます。



2-2
針金がとても上手かった。特に顔が二年生とは思えないほどの完成度。顔の表情がとにかくカッコよくて渋い。後ろの炎もいい感じだった。ただ獅子が人に比べてやや小さめなサイズなのでもう少し大きく作って迫力を出した方がさらに良かったかもしれない。服の柄はとても拘っていて美しかった。ただ、電飾で少し失敗していて、昼間見た段階で夜どう光るかがとても楽しみだっただけに残念だった。ちゃんと光れば受賞は間違いなかったと思う。とても素晴らしい行灯でした。このクラスの職人とは色々と話をしたんですが、行灯職人としての資質や誇りが高く、彼らには無限の可能性を感じました。来年こそやってくれるでしょう!来年も期待してます。



2-3
針金は全体的に丁寧で上手い。服の柄も繊細で非常に綺麗だった。構図も巧妙でよく工夫されていた。二刀流というアイディアも良かった。ただ、左手の剣と鳳凰の電飾が少し暗くて残念だった。光れば間違いなく受賞していたと思います。二年生の中で非常に完成度の高い作品でした。来年も期待してます。



2-4
蟻という奇抜な題材。普通なら蟻に見えるように作るだけでも超困難だが、この作品はいとも簡単に『蟻』を成功させている。誰が見ても蟻だと分かるほどの完成度。冷静に考えてみるとそれはかなり凄い事だ。蟻の針金・色は素晴らしかったが、電飾で全体が光っていなく、とても勿体無かった。蟻全体が光ったところを見たかった。人の針金と紙貼りは他のクラスに比べてやや雑な感じもするが、人の電飾と配色・柄はとても素晴らしかった。来年も期待しています。



2-5
布に龍を描くという発想が素晴らしいだけでなく、龍の絵もかなり上手かった。過去に二年生でこれほど上手い龍を描くクラスは見たことない(今年の2-1の龍と同じくらい素晴らしい出来)。爪に絵を描く(ネイルアート)を取り入れるアイディアも斬新で遊び心があってよかった。鳳凰の柄は光ってからとても綺麗だった。人の顔は針金はとても上手いが、墨入れをもう少し改良できればさらに素晴らしい作品に仕上がったと思う。人の胸の絵はとても綺麗だった。それにしても人の胸のあいたスペースにしっかりを絵を入れてくるという発想を当然のように思いつく辺りが今年の二年生は超ハイレベルである証拠なのではないかと思う。来年も期待してます。



2-6
昼間と夜光ったときの見え方が違っていて、昼見ても夜見ても楽しめる行灯だった。鬼の顔はとても迫力があり、三年生と同じくらいの迫力がある顔だったと思う。 左手で獣を掴んでる部分は凄く良かったんですが、前からだと少し分かりにくかったので、もう少し全面的に目立たせた方が良かったかもしれない。右手に持っているアイテムの発想が素晴らしかった。これによりかなりパワフルでマッチョな鬼を演出できたと思う。鬼の体の柄・獣の模様も素晴らしかったが、やはり全体的に赤と青の割合が多いので、もう少し色の種類のバリエーションを増やしたほうが良かったかもしれない。電飾もほぼ完璧だったので、全体的にとても完成の高い行灯だった。来年も期待してます。



2-7
二年生で龍三匹を作るという姿勢が素晴らしいだけでなく、針金の技術も二年生とは思えないほど素晴らしかった。構図も迫力があった。龍の色も光が透けた時とても綺麗だった。表側は人と龍が凄く絡んでいて良いのですが、欲を言えば、裏側も龍の体と人をもう少し絡めた方が面白かったかもしれません。例えば52nd三年金賞の裏側のような感じで。針金・電飾・配色・構図とどれを取っても高得点で、とても完成度の高い行灯でした。来年も期待してます。



2-8
裏の鳳凰の羽の部分には職人の細部にわたるこだわりに感動しました。あと構図は素晴らしいのですが、紙貼りが少し雑な気がしてしまいました(今年の二年生はレベルが高いだけに)。剣の蛍光灯は全学年の中でもかなり明るい方で、素晴らしかったです。鳳凰のグラデーションもとても美しかったのですが、残念ながらこの部分の電飾が少し暗く、もっと光がよく透けていればさらに良い作品になったと思います。来年も期待してます。



2-9
まずこの行灯を見て目が釘付けになったのが妖狐の迫力と美しさ。妖狐の顔の針金がとても精密でなおかつ迫力があった。紙貼り・墨入れも非常に素晴らしかった。ちなみに、この針金を作っていたのは女の子らしいです。やはり近年、女子の針金職人のレベルは飛躍的に伸びていると思います(1-8の顔も女の子が作ったらしいですし)。この妖狐の薄紫色という絶妙なカラーが、夜光ったときに幻想的で魅力的な世界観を生んでいる。人の針金は上手いが、手(指)があまりにも細くて小さいために、やや電飾で苦戦していたのではと思われます。筆を持つという発想は今までになく、斬新だった。人の服の柄は美しいのだが、肌色と色が類似していたために夜光ったときにやや同化してしまっていたのが勿体無かった。この辺は盲点だったかもしれない。来年も期待しています。




・1年総評

過去の作品を見てみると、一年生は行灯製作初挑戦ということで、毎年それほどレベルは変わらないものなのだが、、今年の一年生は針金(特に顔)と電飾のレベルが高かった。特に電飾はほとんどのクラスが見事に成功していて、行灯全体がちゃんと光っていた。そういう意味で史上稀に見る一年生だった。審査に関しては、それぞれの行灯に『多くの長所』&『僅かな短所』が含まれていて、非常に僅差な勝負でした。どのクラスが何を受賞してもおかしくなかったと思います。



1-1

一年生としては上出来な行灯だと思う。ちゃんと光ってるし、炎もいい感じで迫力が出ていますし。ただ、周りが明るかったせいで電飾がちょっと目立たなかったかもしれません。それでも十分電飾が素晴らしい出来だと分かりました。鬼らしい虎模様の服もとても芸が細かくて素晴らしかったです。来年も期待してます。



1-2
構図が非常に巧みで、針金も丁寧で正確だった。炎の針金やグラデーションも一年生とは思えないほど美しかった。剣もとても鋭くて切れ味抜群な迫力があった。しかもこれを空中で固定するのは至難の業だったと思うが、難なく成功させているところが今年の一年生はハイレベルである証拠であると思う。ただ一つ気になったのが剣の電飾が暗かったこと。ここが非常に惜しかった。でも一年生の中でとても完成度の高い作品でした。来年も期待しています。



1-3

天狗という奇想天外なアイディアに審査員の誰もが驚いてました。とても斬新でよかったと思います。天狗らしい顔に仕上がっていました。ただ少しサイズが小さいのでもう少し大きくてもよかったのではないかと思います。雲を針金で作るという姿勢も素晴らしいですし、雰囲気がよく出ていると思います。ただ、もう少し色や柄のバリエーションを増やせばさらに良かったかもしれません。来年も期待しています。



1-4

全体的に完成度が高い作品です。電飾は明るかったですし、針金も全体的にとても丁寧な仕上がりでした。顔も良く出来ていると思います。ただ服の柄が物足りない感じがしないでもありません。もう少し色んな柄を見てみたかった。来年も期待してます。



1-5

龍のみという構想が斬新で、非常に個性的でよかったと思います。ただ龍の顔が何処にあるのか少し分かりにくかったです。あともう少し柄や配色の美しさが欲しかったかもしれません。来年も期待してます。



1-6

一休さんという発想が非常に個性的で、しかも、誰もが愛着が持てるという意味で高感度抜群の題材だったと思います。また、題名を知らない人でも、この行灯を見れば一休さんを題材にしてる分かったことでしょう。人の針金は丁寧で、緑色の透け具合がとても綺麗でした。電飾も一年生とは思えないくらい明るくてよかったです。虎の絵は素晴らしい出来栄えでした。来年も期待しています。



1-7

題名的にはユーモア賞をあげたかったほどユニークで面白かったです。妖狐一匹という構図がとても斬新で個性的でしたが、少しさびしい感じがしないでもないので、出来れば人(オノヨーコ?)も作って欲しかったです。電飾は一年生とは思えないほどとても明るかったですし、尻尾のグラデーションも綺麗でした。来年も期待しています。



1-8
顔が一年生とは思えないほど上手いです。顔の迫力・目つきの鋭さが二年生並みの迫力でした。このよさこいっぽい威勢のいい表情とハチマキが個人的に大好きです。しかもこの顔を女の子が作ったというのだから脱帽です。近年女子の針金職人のレベルが上がっていることを証明してくれた作品。電飾も初挑戦にもかかわらず完璧に光っていました。髪貼りも全体的にとても丁寧でした。来年も期待しています。



1-9
非常にダイナミックな針金で、一年生の中では空間充填率が非常に高かったと思う。同じ規格でも特に大きく感じた。電飾も初挑戦とは思えないほど完璧に光っていて素晴らしかった。事前審査のときに、首輪の色が金色で、夜はどう光るのか楽しみにしていたのだが、とても美しく光っていて良かった。あんなによく透ける金色は初めて見ました。何か特別な工夫をしたに違いないと思います。顔に赤い線を入れるという発想も素晴らしかったです。来年も期待しています。


55thOBOG審査員『こーひー』の講評








クラス1-11-21-31-41-51-61-71-81-9
点数324437403037315244
クラス2-12-22-32-42-52-62-72-82-9
点数805361516861646369
クラス3-13-23-33-43-53-63-73-83-93-10
点数93817980769195797389

執筆中(?)。


55thOBOG審査員『めろんぱん』の講評






クラス1-11-21-31-41-51-61-71-81-9
点数333834363337374439
クラス2-12-22-32-42-52-62-72-82-9
点数826065666869746772
クラス3-13-23-33-43-53-63-73-83-93-10
点数96818880819598878492

執筆中(?)。


行灯審査における今後の課題。



以下、かなり細かく(?)、行灯審査における課題を書かせていただきましたが、これらの課題点は決して今年の審査に限ったものではありません。今年の審査結果に関しては順当だったと思いますし、実際に色々なOBOGや先生方からそういう評価を得ています(過去には支離滅裂な審査結果になることもしばしばありましたが)。審査とは非常に難しいものです。どのクラスも『自分達の行灯が一番上手いんだ!』という誇りを持っていますし、一生懸命作ったのであればなおさら強くそう思ってるでしょう。それをいかに客観的・分析的・合理的に審査できるか、それが審査員に課せられた使命だと思います。



今年の審査基準について。

今年の5つの審査基準は実行委員会の会議で予め決められてしまっていたもので、OBOG審査員は全く関与してません。審査員7名で話し合った結果、審査基準についての問題点・改善点が3つ見つかりました。


まず『1、行灯の題材』の独創性・ユーモア性がある作品かどうか…と書かれてますが、独創性とユーモア性は全く違う性質です。この二つを同じ基準に入れるのはおかしいのではないかという意見が多数でした。



次に、『3、行灯の美しさ』の電飾及び配色や模様が美しいかどうか…と書かれていますが、中には電飾が良いけど配色がイマイチだったり、電飾がイマイチだけど配色が良い行灯もあるわけです。二つにまとめてしまうと、とても採点しにくいです。だから電飾と配色は二つに分け、それぞれ審査した方がいいだろうという意見が多かったです。例えばこの『3、行灯の美しさ』の点数があまり良くなかったクラスがあったとしたら、一体電飾と配色のどちらが良くてどちらがイマイチだったのか分からないと思いますし。

最後に『5、クラスの雰囲気』…これを点数で成績をつけるのはどうかなと。自分達で苦労して作った汗と涙の結晶である行灯を担げるのだから、盛り上がって当然だと思いますし。でもひょっとしたら中には演技して審査員席前だけで盛り上がるクラスもあるかもしれませんが…。とにかくこれを点数化するのはよくないだろうという意見が多数でした。


そもそも行灯の経験や知識が乏しいと思われる実行委員が作った審査基準に従って一般審査員&OBOG審査員が審査すると言うのも少し無理があるお話です。だからと言って、部外者である審査員だけで審査基準を全て決めてしまうのもどうかと思うので、来年からは審査員と実行委員が審査基準について話し合って決めるのがベストなんじゃないかなと思います。

審査方法について

審査前の審査員会議で実行委員会の先生からこう告げられました。『去年は差がつかなかったので今年は出来るだけ差を付けて欲しい』と。しかし、『差をつける』と言っても、その審査員によって価値観も数学的感覚も違います。実際に、中には20点~30点の極端な差をつける人も居れば、5点~10点くらいしか差をつけない人も居ました。それにより7人の意見が平等に反映された審査結果になっていると言うのは難しいと思います。点数差のつけ方についてはもう少し具体的にしっかりと話し合っておくべきだったと深く反省してます。(もちろん、これらの価値観の違い・点数のつけ方の違いは今年に限った事ではないですし、この辺が審査の最も難しいところだと思います…)。


審査の順番(行灯行列が進む順番)について

『全体的に一般審査員の点数が、前半クラスは低めで、後半クラスは高めになっているのは何故か?』という指摘を受けました(特に二年生の審査結果で)。これは『前半のクラスにいきなり高得点を付けるのは難しい』という理由がまずあると思います。つまり、前半のクラスにいきなり最高点をつけてしまうと、後半クラスでもっといい点数をつけたくなった場合に非常に困るという事です。OBOG審査員はこの原理をよく知っていたので、一学年が終わるごとに前半と後半のクラスの採点結果を見比べながら、何度も吟味したり訂正したりして得点調整を行いました。しかし、一般審査員の結果を見ると、どうも相対的に採点しているのではなく、そのクラスの時にそのクラスを見て審査を終了している(つまり絶対的に採点している)感が否めないのも事実です。これは審査前の会議でしっかりと話し合っておくべきでした。だから僕にも責任はあります。本当に申し訳ありませんでしたm(__)m。これを改善する方法としては、審査用紙を学年ごとに一覧表にするというのがまず有効だと思います。今年の審査用紙は一クラス1枚で、28枚もあり、前半と後半のクラスを比べにくかったかもしれませんので。(しかし過去にはそのクラスの行灯が審査員席前を通り過ぎたら即行で審査用紙を回収され、訂正するチャンスが全くなかったわけですから、それに比べれば今年は遥かに良い方だったと思います)。



また今年は学祭の日程が一ヶ月以上早まり、夜が暗くなる時間が遅くなってしまいました。それにより、1年生の前半クラスの段階ではまだ周りが明るくて、電飾が光ってもあまり目立たなく、明らかに不利だったと思います。しかし、これについてはどうすることも出来ません。1組からクラス順に進むのではなく前もってくじ引きをして行灯行列の順番を決める、もしくは、暗くなるまでスローペースでゆっくり進む等々しか解決策はないと思います。(でもくじ引きと言っても、クラス替えの段階で既にくじ引きのようなものが行われているとも考えられますが…)。


一般審査員とOBOG審査員の審査結果があまり合致していない件について(これは54th・55thに共通)

OBOG審査員と一般審査員はそれぞれメリットとデメリットを含んでいるので、どちらがより良い審査結果なのかは一概には何とも言えません。両者とも真剣に誠実に審査をした結果、こういう審査結果になったわけですし。ちなみに、去年からOBOG審査が導入された根拠は、『近年、行灯製作のレベルが向上し、僅差での優劣をつけざるを得なくなり、行灯製作経験者(OBOG)の専門的な観点が必要だから』&『学校内の先生や生徒が審査に参加すると不正な採点が行われる可能性がある』&『OBOG審査員の詳しい講評・審査根拠などを聞き、来年以降の参考にしたいから』から等々、色々あります。いちお去年と今年の審査結果に関しては順当であり、又、行灯の講評(←54thOBOG審査員が執筆したもの)がとても詳しくて分かり安かったと、評判が良いという話を聞いたので、おそらく来年以降も一般審査員+OBOG審査員という体制は続くと思います(人数などは未定らしいですが)。参考までにメリットとデメリットを以下表にまとめてみました(これらは過去の審査結果・色んな意見等から総合的に判断させて頂きました)。。


一般審査員OBOG審査員



実際に行灯行列を見に来て下さる一般市民の方々と同じ視点で審査できる(当然、観客はOBOG(元行灯職人)よりも、一般市民の割合の方が多いわけですし)。色々な年代の方々の価値観も審査に反映できる。人生経験が豊富。 行灯の経験・知識が豊富であり、その職人の細部にわたる拘りや、どの辺を苦労して作ったか等、詳しく専門的な観点で審査できる。審査における判断材料が豊富なので、僅差な勝負の場合、しっかりした根拠に基づいて優劣を付けることが出来る。作ったことのある人間にしか分からない要素も考慮して審査できる。洞察力・観察力が鋭い。講評を書ける。




行灯の経験・知識がOBOGより乏しいため、審査における判断材料がどうしてもやや不足してしまう、つまりパッと見た感じの第一印象だけで点数をつけてしまいやすい。又、これにより行灯の出来が非常に僅差の場合、不具合が生じる可能性がある。細かい部分の長所や短所まで考慮して審査してる人は少ない。講評が書けない。 元行灯職人なので、行灯に関しては強い拘りや、シビアな感性を持っている可能性がある。職人の気持ちや苦労がよく分かるので同情してしまう可能性がある。つまり審査における客観性(一般性)が失われ、やや主観的な視点で審査をしてしまうという可能性が全くないとは言い切れない(54th・55thはなかったと思うが…)。





最後に

以上、行灯審査の課題に関してかなり赤裸々なことを書き綴ってしまいました。何故なら、僕が現役生の頃は、行灯審査に関しては何もかもが閉鎖的で、こういう審査員の本音みたいなものを聞きたいと強く思っていたからです(皆さんがこんな話を聞きたいかどうかは分かりませんが…(汗))。何か意見や苦情がありましたら、メールor掲示板でお願いします。他にも色々な課題がありますけど、ここには到底書けません。僕はOBOG審査員経験者として、来年(56th)もOBOG審査員に参加させて頂けるらしいので(いちお未定ですが)、そのとき審査員会議等で強く主張したいと思っております。

コメント一覧

コメントを書く

作成