58thOBOG審査員より

58th審査講評by御家人

▽審査方法



各審査員持ち点100点。

一般審査員(2名)は総合100点。

OB審査員(56th4名57th4名)は専門50点総合50点。




ただ、電飾の人間が3人いたため、1人を総合100点とし、俺は針金と構図(専門100点)を見ました。

総合に比べ、専門では点数に差を付けるつもりでいたので(部分的に突出しているクラスがあったりするため)、結構思い切った点数のつけ方をしています。

審査員で話合った結果、点差のバラつきを抑えるために、基準(※)を設けて、(直前にちゃんと話し合えなかった審査員を除き)20点満点でつけました。



小数点そのままで計算すればいいのにと思ったんですが、四捨五入されたようなので、下の表では足してから四捨五入してます。計算は間違い無いみたいです。



▽※基準に関して



20点満点を1~10、6~15、11~20の3つに分割し、

それぞれを1年2年3年という風に分けました。

1年の最高傑作は例年の2年の平均程度、3年の1番下と同じくらいまで来るのではないだろうかという考えに沿ってです。



また総合点とは違い専門点に関しては、1年生でもたまに3年生と比べ遜色の無い色塗りをするクラスが現れたり、逆に電飾は3年でも失敗してしまえば真っ暗なわけで、この枠を超える作品があるのも不自然では無いと考えました。

要は学年ごとに10点満点+αといった感じです。

俺は「コレは部分的には上の学年でも全然通用するな」と思ったらためらわず上の学年と同様な点数をつけました。



「勝手にそれぞれ1~50点で付けてね」と言うよりは、個々の点差のばらつきを抑えられたと思ってます。



▽特別賞について



審査員は事前に「今年は審査員特別賞は無い」と伝えられていました。

例年どういう風に審査員特別賞を選んでいたのかは知りませんが、

今年の特別賞に審査員は全く関与していないです。

恐らくは旭川の人達が持って行きたい行灯を選んだのかと。確証は無いですが。

教官も関与してるかも知れません。






以下の点数は御家人の点数のみです。

この点数に他の針金審査員と構図審査員の点を、それぞれ部門ごとに平均します。

講評も全て御家人のものだけとなってます。

※他の審査員の点数は公開しません。



クラス 針金(20点満点) 構図(20点満点) (針金+構図)×2.5(100点満点)
1-1 5 4 23
1-2 3 2 13
1-3 3 4 18
1-4 3 3 15
1-5 9 7 40
1-6 6 7 33
1-7 5 6 28
1-8 7 8 38
1-9 12 9 53

▽講評1年

削除しました。


クラス 針金 構図 総点×2.5
2-1 10 12 55
2-2 12 10 55
2-3 10 9 48
2-4 10 13 58
2-5 9 12 53
2-6 14 13 68
2-7 17 16 83
2-8 11 14 63
2-9 12 7 48

▽講評2年

削除しました。


クラス 針金 構図 総点×2.5
3-1 16 16 80
3-2 12 13 63
3-3 15 11 65
3-4 18 14 80
3-5 18 17 88
3-6 19 17 90
3-7 15 18 83
3-8 14 17 78
3-9 19 18 93

▽講評3年

削除しました。



▽3年講評まとめ(大幅に加筆修正)



例年と違い、接戦でした。

前評判もそれなりに割れてました。(それなりにはまとまってたけど、比較的という意味で。)

審査員席で思ったのは、2組の行灯が綺麗に光ってるなと。

誰も指摘しないから思い切ってここで書きますが、

多分、2組が5組の後だったのもあると思います。それは見てる方としては、しょうがないことだとしか言えないです。

でも、そう見えた、その瞬間のその気持ちに嘘は無いです。

作っている側としては、納得行かないかも知れませんが、(こんなことを審査員が書くこと自体異例過ぎますが、批判が多くあったことは既に周知の事実なので、不満があったことをうやむやにしてもしょうがないと思ってます。)

2組の点数が(少なくとも俺の予想以上に)伸びた理由の1つではあると思います。

俺が付けた点次第では(結果論ですけど、1番点数に傾斜をつけたのは俺みたいです)、2組は金賞どころか大賞も有り得ました。

それは、点差さえ知っていれば、簡単にわかることやと思います。



少なくとも言えることは、光った時の2組の行灯を色塗り職人は参考にすべきということです。

上位に食い込むべき何かを夜になって見せ付けたクラスが、この2組です。





構図的な話をします。

今年は、新たな題材に取り組むクラスと、龍や鳥といったかつて多く見られた題材に挑戦するクラスとに2分化しました。

人の体を作らない行灯(極端に首から先だけの行灯や、体の部分が少ない行灯)が急激に増えましたが、

正直、体の動きが無いというのは構図のみならず、針金においても大きなマイナスなのでは無いかと考えています。

ストレートに言えば、今回は体を作らないことのメリットを生かしきった行灯は無いように思えました。

それとは対照的に(完全に体を作りきっているわけではありませんが)、2年金賞や銀賞のような人の動きがある行灯はやっぱり素晴らしいと思います。





また針金と関連してくるが、せっかくの針金が隠れたりして見えなかったりする行灯が多く、

凄くもったいなかったです。

審査員席は予想以上に見上げる感じなので、もっと下を意識して欲しいです。





針金は、気に入った箇所を1組から順に列挙しておきます。来年以降の参考にしてくれればと思います。

・顔・他パーツ(1組)

・ひょうたん(1組)

・波(2組)→最近この手の波増えた

・背中(3組)

・顔(3組)→墨入れが地味で残念

・真ん中の鳥(4組)→特にとさか

・鬼(5組)

・人の髪(5組)

・衣(6組)

・龍の手(7組)

・立体鱗(7組)→個人的にはかなりグッときた

・雲(8組)

・炎(9組)→最強

・龍の口の脇のとんがり(9組)



これらを混ぜ合わせると最強の行灯が!



▽構図に関して気になったこと



今年のいくつかの行灯で共通して気になることがあったので書きます。今までの年では無かったことやと思います。

背景の使い方についてですが、背景をただの板のように使っているように思える行灯がいくつかありました。

背景は、余ったスペースをうまく活用するもので、板のように配置しては、本体の奥行きが狭くなって、作りこみたい部分が平べったくなってしまうだけです。

また、このような行灯は、横での絡みはあっても、前後での絡みが無く、行灯の一体感が薄くなっていると思います。

行灯を奥行きで三層くらいに割って、層ごとに別の作品が作られているように見えます。(伝わりますか?)

一体感が無いだけに限らず、後ろの層が隠れてしまい、奥行きの無い行灯という印象を与えてしまっています。(少なくとも俺にはそう見えました。)

もともと行灯は縦横に比べ妙に奥行きが狭いので、奥行きを無駄使いするような背景の使い方は非常にもったいないです。

背景というのは、本体に合わせて、形を変えていくべきもので、

それが余ったスペースの有効活用では無く、スペースを狭めるだけのものになるならば、本末転倒です。



この点に関しては、意識的に辛く点を付けました。

もう少し、構図の1つ1つに意味を求めて欲しいです。





※58th行灯行列直後に書いたものを12/12に一部加筆修正しました。御家人。

表は、スタイルシートがギャラリーのものの使いまわしなので、少々見づらいのはわかるんですが、これくらいでいいってことにして下さい・・・。