青森ねぶた祭りについて

はじめに

ねぶたは北高行灯のすごいバージョンなので、過去の行灯だけではなくねぶたも参考にするとよいでしょう。

ねぶたやねぷたもいろいろあります。代表的なものは、青森のねぶた、弘前のねぷた、五所川原の立佞武多、黒石の黒石ねぷたなどでしょうか。
ここでは単にねぶたと言ったときには青森ねぶたについて指すことにします。

北高行灯とねぶたの違い

北高行灯とねぶたでは、規格・作業期間・作り方などの点で大きな違いがあります。

規格

ねぶたは高さ3m(台車の高さを入れると5m)、幅9m、奥行き7mです。北高行灯の高さ2.5m、幅4.5m、奥行き1.8mと比べると、高さは1.2倍、幅は2倍、奥行きは約4倍となっています。見送りとよばれる後ろ側のねぶたを除いても、行灯と比べると奥行きが大きくなっています。見送りのねぶたが北高行灯と規格が近いかもしれません。

(記事を書いた当初、ねぶた本体の高さを5mとして高さ2倍としていました。これは誤りです。申し訳ありませんでした。)

作り方

ねぶたの作り方についてはこちらの弘前大学ねぶた・ねぷた研究会の「ねぶた教材テキスト 侫武多をまなぶ.pdf」という資料が非常によくまとまっています。これ以上の資料は見たことがありません。おすすめです。

こちらもおすすめです。陸奥新報連載2【人形ねぷたの技と力】必殺ねぷた人棟梁,中川俊一

色塗り

まず大きな違いは、色塗りでしょう。
北高では事前に色を塗ってから紙を貼ることが多いですが、ねぶたでは真っ白な紙を全面に張ってから、筆や刷毛、エアブラシ(スプレーガン?)を使って色を塗ります。肌など、単色かつ微妙な凹凸を表現したいところはエアブラシを使っているようです。

インクについて、水性顔料と染料を使っているようです(詳しい商品名などについては調査中)。水性顔料はポスターカラーなど、北高でも以前よく使われていたものです (昔の北高行灯ではポスターカラーも使われていました (51stの行灯の作り方) が、最近ではガッシュ系が一般的なようです) が、染料については予算のこともありまったく使われていないと思います。顔料は水と混ぜたとき水に溶けず細かい粒の状態になりますが、染料は水に溶けます。顔料は光を通さない(乾かしたときに顔料の粒の間、つまり水があったところから光が通る)のですが、染料は光をきれいに通すらしいです。

紙について、ほぼすべて奉書紙を使っています。あまりよく知らないのですがロンテックスという紙も使っているみたいです。北高でよく使われているロール紙は全く使っていません。

なぜ北高では事前に色を塗る?

ここからは事実ではなく、なぜ北高では事前に色を塗るのかということの私の予想です。あっているかもしれませんし、間違っているかもしれません。

まず一つ目、みなさんもたぶんこれは納得してくれると思いますが、後塗りだとムラなく塗るのはかなり難しいというのがあります。私も練習でちょっと塗ってみたりしたことがあるのですが、刷毛塗りだと刷毛の線が出てしまって全然ダメでした。

二つ目、北高ではロール紙を使うことが多いですが、ロール紙は強度がないので、後塗りをするとすぐに破けてしまいます。以前は電源がバッテリーだったので光量が少なく、ロール紙のような薄くてよく透ける紙を使わざるを得ませんでした。現在は発電機になったので光量については問題ないと思います。ただロール紙は奉書紙に比べてかなり安いというのがあります。予算さえ問題なければロール紙を使う意味はないんじゃないかと思っています(あまり色塗りをわかっていない人間の意見です)。

三つ目は効率的に作業を行うためです。これもよく見かけるのですが、確かに結論としては効率のためだったりするのですが、その理由がちょっと違っているんじゃないかと思います。
というのは、たぶん効率的に作業を行えると言っている人は後塗りより前塗りのほうが早いという意味で使っていると思うのですが、後塗りって思ったより時間はかからないんですよね。
60th3-9の炎と魂の部分は後塗りだったのですが、あの範囲の色を3人日(1人が1日に行う作業量を1人日といいます)でやっています。これは前塗りだともっと時間がかかるんじゃないかと思っています。前塗りだと、色を塗ったけど使わない紙もあるし、紙を貼る際に余分な部分は切って捨ててしまうので。もちろん後塗りと前塗りで向き不向きはかなりありますが。そして、すべて後塗りになるとすると、事前に色を塗る部隊がいなくなるので、その人たちが針金を手伝えば何十パーセントかは針金が早くでき、そして針金部隊だった人が色塗りに参加すればこれも早く終わるでしょう。
と、まあここまでは理想論で、現実的に考えるとそんなに全員が針金も色塗りも全部できるわけがなく、それぞれに得意分野と苦手分野があると思います。なので得意分野によって完全に分業にしてしまい並行して進めたほうが結果的には効率的にかつ上手くできるんだと思います。

結論としては、塗りの技術(ムラなく・グラデーション)があって、全員が針金も色塗りもできる、ということなら後塗りのほうが圧倒的にきれいにそして早くできると思いますが、それ以外なら前塗りでやったほうが無難です。

骨組み(支柱・針金)

ねぶたでは針金同士の固定にいわゆる細針は使わず、ビニロンという糸とボンドで針金を固定しています。

北高行灯では多くのクラスで、事前に土台と支柱をすべて組み立てたあと針金に入ると思いますが、ねぶたでは支柱も針金も並行に作ります。針金を作りながら、強度が足りないところに木材を差し込んでいく感じです。そしてその木材の数がかなり多く、そのおかげかほとんど揺れなくなっています。支柱がかなり入り組んでいるので電飾は至難の業だろうと思います。

また、ねぶたではパーツはすべて事前に作っておき、その後本体に入ります。
本体にパーツを合わせるのではなく、パーツに本体を合わせる感覚なのだと思います。

青森ねぶた祭公式サイトのねぶたができるまでや、ねぶた画廊のねぶた継承のページも参考にしてください。

その他

予算

北高行灯は最大でも10万円ほどしか使えませんが、ねぶたは1基に2000万円 (材料費だけではなく報酬・人件費なども込み) 使うそうです。

準備期間

ねぶたは前年度のねぶたが終わった直後から、次年度の準備期間が始まります。

まずは祭りが終わってから約半年間かけて次の題材と構図を練り、下絵を描きます。
2月頃からは自宅やアトリエで手や面などのパーツの制作に入り、5月上旬からねぶた小屋 (テント) で作業が始まります。
そこから骨組み・電飾・紙張り・書き割り・ろう書き・色付けと進み、7月下旬に台上げ (ねぶたを引くための台にねぶたを乗せること。台には発電機が搭載されている。) が行われて完成です。

対して北高行灯は北高祭準備期間である約1ヶ月間、しかも一日4時間程度しか作業できず、持ち帰り作業も禁止されているので、圧倒的な時間の差があります。

参考: http://www.jr-morioka.com/nebuta/

ねぶたを見に行く

青森ねぶた祭りは、毎年8/2~8/7です。曜日は関係ありません。

おすすめは6日です。6日には賞が発表されているはずなので、賞が書かれた看板が乗ったねぶたが見られます。また、全大型ねぶたが運行するのは6日だけです。他の日は運行しないねぶたもあります。

7日は昼にも運行しますが、夜は海上運行なので近くで光ったところを見れません。7日だけというのはあまりおすすめしません。海上運行では花火が上がります。

札幌からの往復

急行はまなすが行きやすいと思います。時刻表
22時札幌発で、朝5時半に青森に着きます。自由席と指定席がありますが、指定席券は510円でたいしたことないなので指定席がおすすめです。
普通に買うと指定席で片道9000円くらいで、北海道&東日本パスを利用すると指定席で往復14000円くらい(参考)、札幌フリー乗車券を利用すると指定席で往復13000くらいになります。フリーパスは期間や範囲が決まっているので注意。
指定席も席がいろいろありますがカーペットカーがいいです。横になれます。ドリームカーは体が痛くなるのでやめたほうがいいです。カーペットカー、ドリームカーともに同じ値段なので、カーペットカーが空いていればカーペットカーのほうがいいでしょう。他にはB寝台というのがありますが、これはさらに6000円上乗せなのでちょっと高いです。B寝台を利用したい場合は青森往復きっぷがおすすめです。
また、女性の場合はちょっと危ないかもしれません。女性専用車両があるのでそれを利用するか、他の選択肢を選んだほうがいいと思います。

急行はまなす以外は、津軽海峡物語という高速バスとフェリーのプランが急行はまなすよりも安いです(片道6000円)。このプランでは行ったことがないのでどうなのかはわかりません。

宿

まったくないと思ったほうがいいと思います。一年前から予約をしないと取れないらしいです。料金も平常時と比べてかなり高いらしいです。
夜は往復の急行はまなすで寝るのがいいと思います。

宿を予約していないのに青森に泊まらざるを得なくなったときは、あおもり健康ランドが良いです。横になれるレストルームがあります。青森駅から新青森駅まで電車に乗って、徒歩10分です。青森駅から歩くのは2時間くらいかかるのでおすすめしません(実体験)。

おすすめの楽しみ方

朝8時くらいにねぶた小屋が開きます。午前中はそれらを見るだけで時間が経ってしまうと思います。

午後は暑くなってくるので、下に書いたおすすめスポットを見に行きましょう。

4時くらいになったら街に行ってみます。街ではどこかでねぶた師の展覧会が開催されているかもしれないので、もし開催されていたらそれも見に行きましょう。また、ねぶた終了後は時間がないのでおみやげはこのうちに買っておきましょう。

その後は場所取りです。いい場所はすぐに埋まってしまいます。

おすすめスポット

ねぶた小屋(ラッセランド)
当たり前ですが見に行きましょう。
ねぶたの家 ワ・ラッセ
ここも必ず見に行きましょう。
アスパム
ねぶた小屋を見ていて暑くなったらここで涼みましょう。2階にはねぶたも展示してあります。
竹浪比呂央ねぶた研究所
竹浪比呂央さんのアトリエ
ねぶた屋
ワ・ラッセの近くの倉庫にあるらしいです。ここで実際にねぶたに使われた紙を買えるらしいので、買ってみるといいと思います。
ねぶたの里
2013年12月に残念ながら閉園してしまいました。

その他年によってはねぶた師の展覧会が催されていることもあります。2008年は北村隆さんの展覧会が行われていました。

運が良ければねぶた師の方と会えるかもしれません。上に書いた展覧会で北村隆さんをお見かけしましたが、オーラが凄くて話しかけられませんでした。笑

見る場所

17時くらいまでグダグダしながら、どこでねぶたを見るか考えておきます。いい場所は場所取りが激しいので、17時くらいになったらそこに居座っても早くはないです(暑いけど)。

時間の関係で一周回りきる前に終わってしまったりすることもある(重要!)ので、絶対見ておきたいねぶたの対角線あたりがいいと思います。近くだとまだ明るいうちに見ることになるので。各団体スタート地点

角ではねぶたが回ってくれるので送りも見れます。

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ココらへんか、それがダメだったら
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ココらへんがオススメ (微妙に位置が違う)。

北国写真帳というブログのこちらの記事も参考にしてください。

運行中

19時~21時までです。写真やムービーを撮りまくりましょう。
ねぶたの立体感を収めるにはムービーのほうがいいかもしれません。

終わったあと

22時くらいまで余韻に浸って、急行はまなす(22:42発)で帰ります。
札幌には朝6時くらいにつきます。

その他

ライブ配信

残念ながら青森に行けない人は、Ustreamでライブ配信があります。
こちらから。

ねぶた師

ねぶた師はねぶた制作のプロで、ねぶたに人生を捧げた職人です。行灯を作るのが上手い人を“職人”と呼ぶのは私は否定的(たかが3回やった程度で職人とか、と思う)なのですが、こちらは本物の職人です。
ねぶたはこのねぶた師が中心となって作られます。1基のねぶたに1人のねぶた師です。

最近(2014年)の主なねぶた師を紹介しておきます。(敬称略、順不同)

北村系

北村隆
第六代ねぶた名人(ねぶた名人については後述)。大賞受賞回数は歴代最多。第2代ねぶた名人の北川啓三の弟子。
北村蓮明(明)
北村隆の双子の弟。北川啓三の弟子。最近まで賞に恵まれなかったが、2009年・2013年にねぶた大賞を受賞している。
北村麻子
北村隆の娘で弟子。女性初のねぶた師。2012年に初制作。
北村春一
北村蓮明の息子で弟子。2011年に初制作。

千葉系

千葉作龍
第五代ねぶた名人。大賞受賞回数は北村隆に次ぐ歴代2位。
竹浪比呂央
千葉作龍の弟子。こちらも受賞の常連。
手塚茂樹
竹浪比呂央の弟子。2014年に初制作。
内山龍星
千葉作龍の弟子。
立田龍宝
内山龍星の弟子。2013年に初制作。

我生会

穐元和生
ねぶた制作団体『我生会』(鹿内一生が興した一門)のメンバー。師匠は第4代名人の鹿内一生。大賞受賞は1回。
外崎白鴻
我生会メンバー。師匠は穐元鴻生と穐元和生。
大白我鴻
我生会メンバー。穐元鴻生に師事。

名人位

ねぶた師のなかでも極めて高い技術を有し、ねぶた祭の発展に寄与してきたねぶた師には名人位が贈られます。公式の説明

一代目は北川金三郎氏、二代目は北川啓三氏、三代目は佐藤伝蔵氏、四代目は鹿内一生氏、五代目は千葉作龍氏、六代目は北村隆氏です。

運営団体

スポンサーです。団体ごとに1基のねぶたを作ります。ねぶた師は団体を掛け持ちして作ることもあります。

賞と審査

公式サイトの説明を読むとだいたいわかると思います。
審査に関するエッセイを読むと、ねぶたも審査でいろいろあるんだなということがわかります。

ねぶた大賞
総合1位
昔は田村麿賞という名前だった
知事賞
総合2位
市長賞
総合3位
商工会議所会頭賞
総合4位
観光コンベンション協会会長賞
総合5位
最優秀制作者賞
ねぶた本体の点数のみで1位の制作者に送られる賞
優秀制作者賞
最優秀制作者賞をとったねぶた師を除く、ねぶた本体の点数のみで2位、3位の制作者に送られる賞
2名まで
運行・跳人賞
運行・跳人の点数が1位
囃子賞
囃子の点数が1位

ねぶた関連書籍

ねぶたの魅力に取りつかれ、ねぶた馬鹿になってしまった方は、ねぶた関連書籍を買って読むといいと思います。

千葉作龍さんの本(2014年7月出版)など。

ねぶた関連商品

最近ではねぶたの世界への発信とねぶた師の研究費の確保のために、ねぶた作りの技術を応用した商品や役目を終えたねぶたの一部を使った商品が多くでてきています。

関連リンク

公式

青森ねぶた祭オフィシャルサイト
http://www.nebuta.or.jp/
青森ねぶた祭りの公式サイトです。各年の全ねぶたの下絵・写真などが見られます。

写真

ねぶた定点観測
http://nebuta.aomori-u.ac.jp/
2003年以降の青森山田学園のねぶた(すべて北村隆さん作)の定点観測がすべて見られます。
Photographic.japan
http://photographic.jp/
2009年の北村隆さんに密着して撮られた写真の数々は必見です。
北国写真帳-Nebuta
http://aomori-nebuta.blogspot.jp/
ねぶたブログですが、ほとんどねぶたデータベースです。団体・ねぶた師でカテゴリ分けされています。写真の数も多く、質も高いです。

ねぶた師・団体

ねぶた師北村隆
http://www.nebutakitamura.com/
北村隆さんと北村麻子さんの公式サイト
蓮乃團
http://rennodan.com/
北村蓮明さん・春一さん親子のオフィシャルサイト
竹浪比呂央ねぶた研究所
http://takenami.hiroo-nebutaken.com/hiroo.html
竹浪比呂央さんとそのお弟子さんのページ
ねぶた工房流星
http://www.actv.ne.jp/~mmas-o/index.html
内山龍星さんのページ
侫武多倶楽部どっとこむ
http://nebutaclub.com/n/blog/
我生会の応援サイト
ねぶた屋
http://www.nebutaya.com/
ねぶた若手制作者(外崎白鴻さん、立田龍宝さん、北村春一さん、手塚茂樹さん)による団体
ねぶた師立田龍宝
http://www.tatsuta-ryuho.com/
立田龍宝さんのページ

ねぶた馬鹿

これでも物足りないねぶた馬鹿の人はこのページを見るといいかも。

ねぶた画廊
http://nebuta-garou.tugaru1.com/
武田の日記
http://takedatarou.blog116.fc2.com/
ねぶた馬鹿ブログ
http://nebutabaka.exblog.jp/

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