簡単にですが全体の墨入れの仕方を説明していきます。行灯は墨入れで引き締めることで大きく印象が変わります。ねぶたがそのまま良い参考になるので、自分の行灯と比較しながら考えるといいと思います。また、顔の墨入れについては甲乙人さんの“顔の作り方”という記事が詳しいのでそちらをご覧下さい。
まず、行灯のどこに墨入れをするかを決めます。墨を入れるのは主に「ふち」「しわ」「境目」「模様」の4つになります。デザイン画や模型にあらかじめ書き込んでおくと実際に書く時にわかりやすいと思います。
ふち
衣や鎧兜、刀など、物の輪郭をとります。また、巻物などの縁取りもします。針金でエッジがきいているところをなぞるような感じで書きます。ただ、なんでもかんでもなぞるとバランスが悪くなることがあるので入れ過ぎに注意してください。
しわ
布や肌のしわを表現します。布は大きなしわを書きますが、場所によっては必要ありません。肌は指の関節、手首足首のあたり、うでや腹の筋肉などを書きます。また、しわはふちとつながって書く場合もあります。
境目
ものとものの境界線をいれます。服の重ね着であったり、何かがぶつかっているところであったり、揃えた指のくっついているところであったり・・・。紙貼りが雑で色の継ぎ目ががたがたしているところも墨入れでカモフラージュすることができます。
模様
模様によっては墨入れで書きます。金属の装飾や印章など、主に細かい文様になると思います。
しわや模様の部分に下書きをします。鉛筆等で十分です。上から墨でなぞるので濃さなどはあまり気にしなくていいですが、紙に穴をあけないようにだけ注意してください。
上の方を書くときに下に垂れてしまったり、まわりにはねて汚してしまうのを防ぐため、新聞紙などで覆うと安心です。全部を保護する必要性はありませんが気になるところは軽く覆っておくといいでしょう。
紙コップなどの容器に墨を入れ、筆でかいていきます。太く、かすれさせて書くと勢いがうまれ、細く均質に書くと繊細さが強調させると思います。各々の行灯が表現したいものにあわせて書き方を変えるといいでしょう。また、人や生き物は太く、物は細く書く等場所によって工夫するとメリハリがつくかと思います。
墨入れの統一感を出させるには1人で全て書ききるのがよいですが、時間の都合上そうもいってられない場合もあります。パーツごとに分担するなどし(この場合針金をした人と同じ人がするのが好ましい)、「誰が・どこを・どのように」書くのかをあらかじめ確認しておいて全体のバランスをとるといいと思います。行灯の仕上がりを大きく左右する作業ですのでしっかり計画をたてるようにしましょう。