インクについて

インクについて

絵の具そのままの状態を原液、水で薄めたものをインクと呼ぶことにします。

絵の具について

行灯では例年ネオカラーやスクールガッシュ等を使っています。ネオカラーの大きいサイズは缶のため保存がしづらいですが、色数が豊富です。スクールガッシュは色数が少ないですが、キャップがついているので保存がしやすいです。使う量や色にあわせて合うものを選んでください。通常のアクリルガッシュやポスターカラーも使えます(どれも顔料でアクリル系ですが、水で薄める量や粒子の大きさによって値段が違うのではないかと思います)。なお、他にも受注生産ですがねぶたカラーというものもあります。また、ねぶたでは漬け物の素等を使っている方もいるそうです(ワラッセの職員さんにお聞きしました)。染料系のほうが光をきれいに通しますが、行灯は外でつくるので雨や湿気のことを考えると非耐水性のものは避けたほうが無難かと思います。(余力のある方はぜひ新しい塗料の開拓を…)

インクのつくり方

用意するもの

  • 計量カップ(100均の大きめのものがオススメ)
  • ろうと(なくても大丈夫)
  • ペットボトル×2(片方は水を汲む用)
  • 原液
  1. まず水と原液の割合を決めます。原液の色や塗り方、イメージによって変わってくると思いますが、原液:水=3:1ぐらいからスタートして調整するとやりやすいかと思います。
  2. 計量カップで原液をはかり、ペットボトルに入れます。誤差を減らすためなるべく全部流し込むようにしてください。
  3. 計量カップで同様に水をはかり、ペットボトルに入れます。その後キャップを締め、よく振って混ぜます。
  4. 試し塗りをしながら調節していきます。このとき原液と水の割合をきちんとメモしながらやりましょう。
  5. インクができたらペットボトルにその割合を記入して保管します。追加でつくるときもそこに同じようにつくって注ぎ足すといいでしょう。

混色について

市販の絵の具にはない色を使いたい場合、混色する必要があります。原液の状態で混色しては色がよくわからないため、それぞれもとの色でインクをつくってから混ぜると良いでしょう。そのときも割合をきちんと記入しておきます。
混色のメリット
混色することで好きな色をつくることができます。特に重厚感やニュアンスのある色は原液を薄めただけではなかなか出ないので、暗い色や落ち着いた色を表現したいときにいいと思います。
混色のデメリット
混色をすると色がにごるため、すればすれほど透けたときの明るさがなくなっていきます。また、少しの量の違いで色が変わってしまうので、注ぎ足してつくる時は要注意です。最初から多めにつくるのがよいでしょう。

無彩色について

無彩色、つまり「白・黒・灰色」は基本的に光を通しづらいため、使う際はいくつか気をつける点があります。

白の表現をする際、白い紙に白いインクで塗る場合があります。これは紙そのままでは透けすぎるので電球を目立たさせなくするためであったり、塗らないことによる手抜き感をなくすためであったりします。しかしそこまで必要性を感じない箇所であればわざわざ塗らず他の部分に手間をかけても良いでしょう。
また、混色でパステルカラーをつくる際に使用する人もいますが、白を混ぜすぎると光らせた時に暗くなります。淡い色は水の分量を増やすことでもある程度表現できるので、したい表現にあわせて方法を選んでください。

黒には絵の具の黒と墨の黒があります。絵の具のほうがコスパはいいですが薄めすぎるとむらが目立ち汚くなります。逆に墨はしっかり黒くなりますが、特有の光沢が出てしまいます。また、絵の具はぽんぽんなどで塗った方がきれいになりますが、墨は筆や刷毛で塗った方が表面が整うようです。墨入れ以外の黒はなかなか使いどころが難しいですが、面積や部分によって使い分けるといいでしょう。
灰色
灰色は、素直に白と黒を混色すると透けません。なので、有彩色の混色でつくるときれいです。作り方は簡単です。いろんな色を適当に混ぜるだけ。あまり量を必要としない時は捨てずに残しておいた余ったインクを全部混ぜると費用もかかりません。たくさんつくる場合は面倒ですがきちんと分量を記録しておきましょう。手間はかかりますが、とてもきれいに透けます。また、青系の分量を少し多くしてブルーグレーにするなど、ニュアンスのある色の表現もできるので試してみる価値はあるでしょう。