2014/08/11 (Last Update: 2015/04/03) 編集履歴
この記事は、題材選びに困っている人や狐を作るのに過去の行灯職人からアドバイスをもらいたい人向けに書いたつもりです。
狐の作り方を書いたマニュアルではありません。参考程度に読んでください。
起草者:(以下一人称「起草者」)
65th 3-6 行灯責任者でした。1、2年生は部活の都合上、あまり参加できませんでしたが、部活の合間を見計らって製作していました。
3年間主に担当していた分野はデザイン、色塗り、紙貼り、墨入れ(隈取り)です。
2代目:
が現れるといいなぁーと期待しています。
行灯職人への道のアカウントを持っていれば誰でも編集が可能です。
狐に関するアドバイス、意見などがございましたら是非加筆をお願いします。
wiki に近いスタイルになるので、編集した後は、誰がどの部分を加筆したか分かるように編集すると良い気がします。
まず、狐について知っておくといいと思います。この段階から調べておくと、発想が広がるかもしれません。
日本人と狐の関係というのはとても歴史が深く、平安時代に書かれた仏教説話集「日本霊異記」には女に化けた狐のお話がすでに出ているほど。
あとは、稲荷神社に祀られているのは白狐(稲荷神は狐だとしばしば混同されている)だったりとか、「狐の嫁入り」「きつねうどん」「狐につままれる」のような狐を使った言葉が多かったり、漫画やゲームのキャラクターとして狐、あるいは狐がモチーフのキャラが登場したりと、狐が私たちになじみの深い生き物であることがわかると思います。
北高の行灯で狐を登場させるときは九尾の狐として登場させることが多いです。
意外かもしれませんが、九尾の狐は妖怪の中でも最強クラスに分類されるほどの強さを誇ります。
ちなみに狐は60th 以降くらいの行灯から出現した題材です。
最近(~65th)では学年を問わずどこかのクラスが作っているほど、頻出するようになってきました。
人気が出てきたということなのかもしれません。
一般的に難しいといわれる人間、虎、龍に比べて比較的作りやすいと思います。(起草者の個人的見解)
体つきは割とシンプルでイメージがしやすいので針金で形づくりをするとき、異常に難しい部分がでてくることは少ないですし、そのため、紙貼りもしやすいです。
体のベースの色を考える際も、オーソドックスに黄色にしたり、白にしたり水色にしたり過去には薄紫があるなど、割とどんな色でも対応してくれます。ただし、人間も登場させてかつ狐を黄色にする場合は人間と色がかぶりやすいので注意。
難しいのは、九尾の狐を作る際の尻尾です。
本当に九本作るとなると、限られたスペースに収めるのがとっても難しく、さらにその中で尻尾に動きを持たせなければなりません。かといって尻尾の本数を減らすと妙に迫力がなくなります。ここはデザインの腕の見せ所です。
65th 3-6 の尻尾からもわかるように、九本作るとかなり尻尾が密集することになります。(ここの紙貼りは本当に作業環境が過酷でした。)
他の題材との兼ね合いもよく考えてうまく尻尾を配置しましょう。
あとは、狐というと「迫力に劣るよね、こんこん。」とか言う人がいますが、工夫次第で十分に迫力は出せます。
迫力という方向性じゃなくても、見た目の美しさという方向性でも勝負できるかと思います。
綺麗にいくか、かっこよくいくか、あるいは両方兼ね備えた狐でいくか、方向性も一つの勝負です。
大きなポイントとしては、
- 体の位置、動き
- (九尾の狐なら)尻尾の動き
- 色づかい
この2(3)点は特に気を配ってほしいと思います。
まず、体の位置、動きですが、狐がどういう役割を果たしているのかがはっきりわからないと、どういう構図なのか理解しづらくなり、審査に影響が出ます。一目で狐の役割がわかるように工夫しましょう。
あとは体のどこまで使うか(上半身だけとか全身作るとか)によって存在感が大分変わってきます。
次に、色づかいですが、狐は全身が割と単色なので、メインで行灯の大部分を占める場合、単色だけで仕上げると面白くない仕上がりになります。服を着せる、体に模様を入れる、ピアスとか首輪、腕輪を付ける、口に何かくわえさせる、といったような色に変化をもたらす、いわゆる差し色がほしいところです。
最後に、尻尾の動きですが、九本作る場合、先ほども書いたように、限られた場所でいかに尻尾の動きを表現するかが重要です。
実際、九尾の狐の場合、体よりも尻尾の方が体積が大きいかもしれません(笑
なので、体だけでは表現しきれない狐の動きを尻尾によってカバーしたり、尻尾によって狐の存在にさらに迫力を持たせられるようにデザインに工夫してください。
細かい部分までこだわりたければ、耳の中の色、耳の先端の色、尻尾の先端の色、目の色、爪の色、鼻の色、歯の有無とかを決めると良いと思います。
狐は写真では見たことあるけど、生で見たことがある人は少ない(見たとしても車道を飛び出してくる狐とかぐらいかな?)と思うので、狐の立体的なイメージが思い浮かばないのなら、狐はイヌ科の動物なので骨格とか筋肉のつき方とかは犬(できれば大型)を参考にするといいと思います。
立体的なイメージがあると、完成したときの行灯のクオリティが全然違ってきます。
65th 3-6 では、頭、体、尻尾の3パーツに分けて製作しました。
頭は太い針金を長く切り取って鼻の部分で半分に折り返し、それを数本束ね、外側から別の針金で輪を加えて太さを整える方法で作りました。
耳と、首の周りの毛、腕などはさらに別に分けて、後付けします。
体は、行灯の支柱に沿って作っていきます。ここら辺はかなりオーソドックスな作り方で構わないと思います。
毛並を表現したければ後付です。
尻尾は、1本ずつ別々に作っていきます。
これも、太い針金を長く切り取って尻尾の先端で2つ折りにして輪で束ねていきます。
この時、尻尾の先端が高い位置に来るときは先に紙貼り、色塗りを済ませておくと後で苦労しません。
狐に服を着せない限りは、単色塗りの紙しか使わないと思います。
黄色の体の場合、色の配合として白、黄、赤少しを使い、ただの黄色ではなく少し赤みのある黄色にします。
こうすると、電球色(薄オレンジ色に光る方)の電球で光らせたときに色の馴染みが良くなります。赤は入れなくても構いませんが、私はおすすめしません。
紙に塗るときは■■←これくらいの濃さで塗ります。意外と薄いです。
色を薄めるときは白を加えるのではなく水を加えます。濃くする時は逆に水を少なくすると良いです。
狐は薄い色がマッチしやすいです。
塗り方として、65th 3-8みたいに白い紙を先に貼ってその上からエアブラシで黄色を塗ったものもあります。
柔らかい質感がでて面白いと思います。
特に難しい部分はありませんが、きちんと貼らないと失敗がかなり目立ちます。
尻尾の部分は本数が多いと入り組んで作業しづらいので行灯本体に組み込む前に紙貼りを終わらせておくと良いです。
その場合、本体に取り付けるときに紙を破く可能性が大なので注意。
尻尾は丸みを帯びているので、紙がシワになりやすいです。貼るときにシワにならない方向に紙を伸ばすことを忘れずに。
素直に体のライン、尻尾のラインに沿っていけば問題ないと思います。
この時に尻尾が細いと電球と紙の距離が近くなって光り方にばらつきが出てしまうので要注意。
口の周り、目、毛の根本、耳の境界、筋肉など、立体的に見せるように描き入れていきます。
思っているより太く描きいれていいと思います。
起草者は狐の顔は、狐面のイメージで描きました。黒と赤のコントラストが黄色に綺麗に映える気がしたので。
オプションとして、以下のものが挙げられます。
・服 → 神の使者風、人間のお供っぽくなる(?)
・首輪、腕輪、ピアスなど装飾品 → 神の使者風、妖狐っぽくなる
・刺青 → 妖狐っぽくなる(特に赤色で描く場合)
・武器 → 武器を持つイメージがないですが、くわえさせると面白いかも。起草者の没ネタとして七支刀をくわえるというものがありました。
特に妖狐の場合は派手な方が面白いし、かっこよくなる気がします。
狐は行灯ではどんな題材にも文字通り化ける優秀な題材だと思います。
拙い記事でしたが、少しでも「狐を作りたい!」と思っていただければ嬉しいです。
これからも、行灯の題材の一つとして、狐が発展していくことを期待しています。(by 起草者 20150403)
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