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紙の種類
最近では行灯に使われる紙の種類も多様化してきています。 現在よく使われている紙はロール紙と奉書紙だと思いますが、障子紙など新しい種類の紙も使われてきています。 おそらくみなさんが思う以上に「紙」というのは深い世界で、種類によって (物理的な) 性質が異なるため、その結果、発色のよさ・透けやすさ・塗りやすさ・与える印象などなどがガラッと変わってきます。 この記事では、紙の種類とその特徴についてまとめていきたいと思います。 なお、この記事中での「現在」「現時点」は、69th終了時を指します。 # ロール紙 ロールになっているつるつるしたとても薄い紙です。 59thくらいまではほとんどこの紙でした。1,2年生はロール紙がまだ多いかもしれないです。 特徴はとにかく安いことと、手に入りやすいこと。 また、紙が薄いので、電球の光によって色が飛びやすいという欠点があります。 なんとなく淡いふわふわした印象になりやすいです。 # 奉書紙 「ほうしょがみ」と読みます。 ねぶた・ねぷたでも使われている紙です。58thあたりから使われ始めた気がします (案内人さんの記述から)。現在では3年生のほぼすべてが奉書紙を使っています。ペーパーミツヤマさんの奉書紙がよく使われています。 ロール紙よりも厚く、色がしっかり出るのでどっしりとした印象です。 ねぶたでも奉書紙が使われていますが、おそらく **北高行灯でよく使っている奉書紙とは質がまったく違います** 。なんでかというと、ねぶたの色を塗っている動画などを見ると、色の入りやすさ・染み込みやすさがペーパーミツヤマさんの紙とはまったく違っているんですよね。ペーパーミツヤマさんの奉書紙はわりと水を弾く紙質で、「紙の表面に色を塗る」感じですが、ねぶた動画では水をよく吸っていて、「紙を染めている」感じです。 なので、ねぶたで使われている奉書紙はおそらく障子紙に近い、繊維の粗い紙だと思います。具体的な商品名はわかりませんが、とりあえず奉書紙だからOKというわけでもなさそうです。いろいろ買ってみて比較をしてみたいところですが、まだできていません。 # 障子紙 (ロンテックス) 「しょうじがみ」と読みます。ロンテックスはMOLZAという会社の商品名です (おそらく)。 こちらも奉書紙と同様にねぶた・ねぷたでも使われている紙です。北高では69th (69th大賞) から使われ始めました。 特徴はとにかくムラなく塗れてかつ色がとてもきれいに透けること。ロンテックスでは色を塗ると染み込んでいくので、紙を染めたようなとてもみずみずしい発色になります (北高でよく使われている奉書紙だとなんかカサカサしている)。特に紺色などムラなく塗るのが難しい色に使うのはよさそうです (要検証)。また、高所の後塗りだと、水を弾く紙だと絵の具がたれてきたりするのですが、ロンテックスだと染み込んでいくのでその点も問題ないです。 欠点としては、値段が高いことと、いままでの北高行灯の塗り方があまり通用しないだろうということ。北高でよく使われている紙はあまり絵の具が染み込まないので、ろう塗りしなくても色の境界は作りやすかったですが、ロンテックスだとろう塗りをしないと境界で色が染み込んでいって混ざってしまうので、柄ではろう塗りが必須になります。 また、ねぶたでよく使われている技法である「ぼかし」はしやすいですが、68th大賞の瀬織津姫や66th大賞の紅葉狩のような、柄の周りをぽんぽんして白抜きするというのはやりにくそうな印象です (要検証)。あとは奉書紙よりは丈夫ではなさそうです。 というような欠点はありますが、お金 (とロウ) さえ使えばとてもきれいに塗れるので、どちらを取るかというところだと思います。 障子紙はロンテックスだけではなくいろいろ種類があるので、もしかするとロンテックスよりも安くてロンテックスと同等の質のものがあるかもしれません。 ちなみに、はじめに紙の世界は深いと書きましたが、私も昔は「塗りのムラなんて技術の問題で、紙は関係ないでしょ」と思っていたのですが、ロンテックスを試しに買ってみて考えを改めました。それほどロンテックスは衝撃的でした。 # その他 以下のクラスが特徴的な紙 (一部紙ではないのもありますが) を使っていました。 - 69th2-6の裏 - 64th3-1の鎧 (随時追記したいので教えてください) # 余談: 色の見え方 人間にはどのように色が見えているか、行灯に最も適した紙はどのような性質を持っているべきか、について調べると面白いかもしれません。 これいい研究テーマだと思うので誰か研究してください。 私はあまり詳しくないのですが拡散透過光とか拡散反射光とかで調べるといろいろ出てきます。 # まとめ 現状ではどれも一長一短で、「これが一番いいからこれ使っとけ」、という紙はありません。 値段が安く、きれいに透けて、雨にも強く、塗りやすい、という紙があれば最高なのですが、まだ見つかっていません (そういう紙があれば教えてください)。 なので、紙の適性を理解して、その箇所その箇所で最も適した紙を使うのが重要なのではないかと思います。 # 参考文献 - [紙への道 - コラム(96) 「紙はなぜ」(16) 紙はなぜ、光を通し明るしすることできるのでしょうか?](https://dtp-bbs.com/road-to-the-paper/column/column-096.html) - [DICグラフィックス株式会社 - 紙が違うと色が違う?](https://www.dic-graphics.co.jp/navi/color/paper.html)
最近では行灯に使われる紙の種類も多様化してきています。 現在よく使われている紙はロール紙と奉書紙だと思いますが、障子紙など新しい種類の紙も使われてきています。 おそらくみなさんが思う以上に「紙」というのは深い世界で、種類によって (物理的な) 性質が異なるため、その結果、発色のよさ・透けやすさ・塗りやすさ・与える印象などなどがガラッと変わってきます。 この記事では、紙の種類とその特徴についてまとめていきたいと思います。 なお、この記事中での「現在」「現時点」は、69th終了時を指します。 # ロール紙 ロールになっているつるつるしたとても薄い紙です。 59thくらいまではほとんどこの紙でした。1,2年生はロール紙がまだ多いかもしれないです。 特徴はとにかく安いことと、手に入りやすいこと。 また、紙が薄い (のとおそらく光の拡散率が低い) ので、電球の光によって色が飛びやすい・電球の位置がわかりやすいという欠点があります。 なんとなく淡いふわふわした印象になりやすいです。 # 奉書紙 「ほうしょがみ」と読みます。 ねぶた・ねぷたでも使われている紙です。58thあたりから使われ始めた気がします (案内人さんの記述から)。現在では3年生のほぼすべてが奉書紙を使っています。ペーパーミツヤマさんの奉書紙がよく使われています。 ロール紙よりも厚く、色がしっかり出るのでどっしりとした印象です。 ねぶたでも奉書紙が使われていますが、おそらく **北高行灯でよく使っている奉書紙とは質がまったく違います** 。なんでかというと、ねぶたの色を塗っている動画などを見ると、色の入りやすさ・染み込みやすさがペーパーミツヤマさんの紙とはまったく違っているんですよね。ペーパーミツヤマさんの奉書紙はわりと水を弾く紙質で、「紙の表面に色を塗る」感じですが、ねぶた動画では水をよく吸っていて、「紙を染めている」感じです。 なので、ねぶたで使われている奉書紙はおそらく障子紙に近い、繊維の粗い紙だと思います。具体的な商品名はわかりませんが、とりあえず奉書紙だからOKというわけでもなさそうです。いろいろ買ってみて比較をしてみたいところですが、まだできていません。 # 障子紙 (ロンテックス) 「しょうじがみ」と読みます。ロンテックスはMOLZAという会社の商品名です (おそらく)。 こちらも奉書紙と同様にねぶた・ねぷたでも使われている紙です。北高では69th (69th大賞) から使われ始めました。 特徴はとにかくムラなく塗れてかつ色がとてもきれいに透けること。ロンテックスでは色を塗ると染み込んでいくので、紙を染めたようなとてもみずみずしい発色になります (北高でよく使われている奉書紙だとなんかカサカサしている)。特に紺色などムラなく塗るのが難しい色に使うのはよさそうです (要検証)。また、高所の後塗りだと、水を弾く紙だと絵の具がたれてきたりするのですが、ロンテックスだと染み込んでいくのでその点も問題ないです。 欠点としては、値段が高いことと、いままでの北高行灯の塗り方があまり通用しないだろうということ。北高でよく使われている紙はあまり絵の具が染み込まないので、ろう塗りしなくても色の境界は作りやすかったですが、ロンテックスだとろう塗りをしないと境界で色が染み込んでいって混ざってしまうので、柄ではろう塗りが必須になります。 また、ねぶたでよく使われている技法である「ぼかし」はしやすいですが、68th大賞の瀬織津姫や66th大賞の紅葉狩のような、柄の周りをぽんぽんして白抜きするというのはやりにくそうな印象です (要検証)。あとは奉書紙よりは丈夫ではなさそうです。 というような欠点はありますが、お金 (とロウ) さえ使えばとてもきれいに塗れるので、どちらを取るかというところだと思います。 障子紙はロンテックスだけではなくいろいろ種類があるので、もしかするとロンテックスよりも安くてロンテックスと同等の質のものがあるかもしれません。 ちなみに、はじめに紙の世界は深いと書きましたが、私も昔は「塗りのムラなんて技術の問題で、紙は関係ないでしょ」と思っていたのですが、ロンテックスを試しに買ってみて考えを改めました。それほどロンテックスは衝撃的でした。 # その他 以下のクラスが特徴的な紙 (一部紙ではないのもありますが) を使っていました。 - 69th2-6の裏 - 64th3-1の鎧 (随時追記したいので教えてください) # 余談: 色の見え方 人間にはどのように色が見えているか、行灯に最も適した紙はどのような性質を持っているべきか、について調べると面白いかもしれません。 これいい研究テーマだと思うので誰か研究してください。 私はあまり詳しくないのですが拡散透過光とか拡散反射光とかで調べるといろいろ出てきます。 [MOLZA - 和紙の素材感](http://www.molza.co.jp/interior/screen/tokucho/1.htm) にあるように、和紙だと光が拡散しやすかったりするので、おそらく光の通しやすさだけではなく、ロール紙は電球の位置がわかるけれども奉書紙・障子紙だと電球の位置がわからない、とかそういうのにも影響があると思います。 # まとめ 現状ではどれも一長一短で、「これが一番いいからこれ使っとけ」、という紙はありません。 値段が安く、きれいに透けて、雨にも強く、塗りやすい、という紙があれば最高なのですが、まだ見つかっていません (そういう紙があれば教えてください)。 なので、紙の適性を理解して、その箇所その箇所で最も適した紙を使うのが重要なのではないかと思います。 # 参考文献 - [紙への道 - コラム(96) 「紙はなぜ」(16) 紙はなぜ、光を通し明るしすることできるのでしょうか?](https://dtp-bbs.com/road-to-the-paper/column/column-096.html) - [DICグラフィックス株式会社 - 紙が違うと色が違う?](https://www.dic-graphics.co.jp/navi/color/paper.html)
2018/07/17 11:41:09 の更新