講評 |
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甲乙人
- 責任者としてこの行灯を作りました。どのように作ったか、作る際のエピソードなどは60th3-9の記録という記事に書いているので、ここでは構図や技術的な反省点や感想を述べます。だいたい満足しているのですが、少しだけ。
1. 左足があることがぱっと見わからないような構図になってしまっています。刀の先の下にある炎が胴と脚の境界を隠しているので、これをなくすと良くなるんじゃないかなと思っています。 2. 袖の中の色、これは紺ではなくもっと明るい色にしたほうがよかったです。メリハリがでてかつ墨書きが映えるので。実は袖の中を暗い色にしているねぶたってほとんどないんですよね。 3. 前方上半分、特に左右があまり埋まっておらずもったいない感があります。この構図だとどうやってその部分を埋めるか思い浮かびませんが…。 4. 炎龍について、横から見るときはいいのですが、正面から見たときちょっとアホっぽく見えます。黒目を入れる前はそこまで気にならなかったと思うので、これなら黒目を入れないほうが良かったかなーと後悔しています。あとはちょっと目が大きすぎて可愛い感じになってしまっているので、もっと細くしてもよかったかなと。とにかく可愛い龍なのでもっと龍の針金を研究しておくべきでした。 5. あと鎧なんですが、全体的にちゃんとした鎧ではなくなってしまっています。特に意味わからないのが裏側で、裏から見ると草摺だけで胴の部分は着ていません。なんでこうしたか全然覚えていないのですが、たぶん私のせいなので、もうちょっと鎧のことを知るべきでした。 6. 前側の鎧の草摺の部分の紙貼りが雑すぎてガタガタになってしまってせっかくの柄を無駄にしているのがダメです(私が貼ったのでボロクソ言っています)。 7. 手の墨書きですが、ちょっとかすれてしまっているので、もうちょっと丁寧にやるとよかったです。あと隈取りを墨の周りすべてにやっているのですが、これは片方だけでOKです。 8. また、足の墨入れは完全に失敗しています(これも自分がやった)。6本目の指生えかけなの?って感じなのでもうちょっとちゃんと調べてから塗って欲しかったです。 9. 電飾は1点を除いてノーミスです。その1点とは刀の先の部分なのですが、ここは光らなくてもほとんどダメージがないところ、むしろ光ってないほうが味が出るんじゃないかというところだったのでよかったです。 10. 色もノーミスです。特に後塗り最高でした。ろう散らしによる炎の燃えさかっている感、魂のドロドロ感とてもいいです。この行灯はかなり濃い行灯で濃い行灯にはムラがつきものなのですが、単色塗りもむらがありませんでした。 11. 顔は北村隆さんの丸パクリですが丁寧で良いと思います。ただちょっと墨書き・隈取りが細いです。もっと大胆にやってよかったです。 12. 髪ですが、これは失敗ですね(これも自分がやった)。針金も墨書きも毛っぽさがあまり出ていません。針金についてはもうちょいランダム感を出して欲しかったのと、墨書きも薄墨→濃墨でやるのはいいんですが濃墨をもっとスッと一発勝負でやって欲しかったです。もうちょい研究が必要でした。 13. 死神は完璧です。これ以上リアルな骸骨は現れないでしょう。 14. 兜については吹返しの配色と柄がとてもいいです。前立ての模様はやりすぎではと思います。 15. 配色になにか物足りなさを感じます。これは言語化できていません。全体的に色数が少ない? 16. 武者+炎龍 vs 死神+魄龍 という構図だったと思うのですが、それがわかりにくいです。死神はそのイメージから敵っぽいということはわかり、死神の近くにある魂から出てきている魄龍も敵だということはわかるのですが、炎龍の立ち位置がよくわかりません。炎龍をもっと魄龍の方に向けて、右手を伸ばさせるような構図にすれば、武者の味方だということが伝わりやすいかなと思います。
以上
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