2013/08/17 (Last Update: 2015/08/02) 編集履歴
構図というのは行灯のデザインのことです。
行灯の構図は、
の3つから成り立っていると考えています。
それぞれについて考察してみたいと思います。
まずは題材です。歴史上の誰々とか龍や虎などです。
題材をざっくりカテゴリ分けすると、以下のものがありそうです。
一部を題材アイデア集に移しました。
歴史上の出来事や、伝説などです。
これが決まると登場人物や場面などが全て決まるのでいろいろ楽です。
歴史に明るくない場合や何か作りたい物がある場合は自分たちで題材を作り出すということになります。
メリットは、
デメリットは、
既存の伝説・歴史上の出来事にしない場合は、何を作るか考えなければいけません。
その際メインになるものは人物・動物などです。
例: 武士・武将、陰陽師、女性、鬼、妖怪、龍、虎、蛇、馬、狐、鳥
時代や国で作るものの特徴がかなり違ってきます。
特に衣装はその国や時代に合ったものにしましょう。
国だと西洋、時代だと近代の行灯はほとんど作られていません。
世界に目を向けると、民族衣装とかいろいろあるし良さそうです。インディアンとか。
主に人物が身につけているものです。
武器・鎧・衣・楽器などいろいろあります。
武器はWikipediaの武器のページが参考になると思います。
武器の例: 剣、刀、槍、矛、薙刀、斧、弓矢、素手
防具の例: 鎧、衣、兜、帽子
フィールドは行灯が表している場面の地形などです。RPGとかでよくあるアレです。
これはかなり重要だと思っていて、これと後述の季節・気象があると臨場感が生まれます。
例: 水・波、炎・溶岩、岩場、雲・煙、建造物など
季節感を表すものや気象はねぶただとよくある(桜や雷など)のですが、行灯ではあまり見ない気がします。
紅葉や雪、雷雨などをうまく表現できたら面白そうです。
行灯行列は夏に行われますが、だからといって冬の場面を作ってはいけないということはありません。
いろいろ詰め込み過ぎると
ので、
を鑑みて作るものの調整をしましょう。
奇抜な題材はとてもリスクがありますが、成功したときの効果はものすごいです。観客やOBOGの記憶に残りやすく(超重要)、行灯行列というイベントを楽しんでもらえるようになります。
配置・形は、登場人物のポーズや各パーツの大きさとその場所、どうやって空間を埋めるかなど、です。
いかに迫力を出すかはこれにかかっています。
行灯では、大きく見せるというのがおそらく一番重要です。大きく見えるだけで迫力がでます。そして賞もとりやすいです。
実際に物体を大きく、そして規格いっぱいに作るというのは基本として (基本なので余程な理由がない限りは最優先してください)、大きく見せるためのコツもあります。
オレンジの部分を埋めると行灯が大きく見えるので必ず埋めましょう。上辺に近づけば近づくほど重要度が高まります。北高行灯ではこのオレンジの部分を埋めている作品は意外にもあまりなく、これだけで他の行灯より大きくみせることができます。
逆に青い部分の空間充填率は低めでも大丈夫です。前方下半分がオレンジの部分より前に出ていると勢いが後ろに向かってしまい、観客から見づらくなるので、少し抑えめにしておくといいです。ねぶたも横から見るとこうなっています。
オレンジの部分を埋めて青い部分を控えめにしようとすると、必然的に後方下半分が埋まるはずです。
これがどうして大きく見えるのかというと、観客は行灯を下から見上げるように見るからです。口で説明するのは難しいので下の3つの画像を見てください。
このように、上を埋めて下を控えめにすると、行灯を面としてとらえたときの面積が大きくなります。
が、この面積のために体積を削りすぎてしまうと、空間充填率が下がってしまい逆効果ということもあります。実際には下の写真のように、面としてとらえたときの面積と体積をバランスをよくするのがベストでしょう。
ただし、このような構図上の制約を入れると題材を表現できないこともあると思います。その場合は題材を優先したほうがいい行灯を作れるのではないかと思います。
ねぶたと行灯では立体感が全然違います。行灯もねぶたももちろん立体なんですが、本当に全然違います。ねぶた動画を見てみたらわかると思います。
ねぶたではなぜあんなに立体感があるのか、というのは調査中です。
やはり、奥行きを上手く使う、できるだけ凹凸を多くする、というのが重要な気がします。私のクラスが作った行灯で申し訳ないですが、60th3-9は北高行灯としては立体感がある方だと思っているのですが、これは北高行灯の中でもかなり凹凸が多い方だと思います。写真だと凹凸がわかりにくいですが……。
(ここからは予想の話なのでまだあまり鵜呑みにしないようにお願いします)
上の節では空間充填率を上げるということを書いているのですが、敢えてスペースを空けるというのが重要なのかもしれません。もちろん全体に、特に前方上半分の部分には必ずなにかしら物体を配置しなければいけません。充填率は低いけど、全体に物体が配置されている状態です(伝わるでしょうか)。
行灯でよくある構図の作り方として、二つの物体の間に少ししかスペースがないときには作りやすくするためにそれらをくっつけてしまう、というのがあるのですが、これがいけないのではないかなと思っています。
例えば、宙に浮いたものは立体感を感じやすい気がします。ねぶたの龍とか立体感がすごくて、これはたぶん宙に浮いていてどこにも接していないからだと思っています。行灯だと宙に浮いた龍は見たことがありません。ただこれは支柱が超高難易度です。ヘタすると揺れるどころか折れます。
もちろんねぶたのほうが規格が大きく、ゆったりと作れるというのもあります。行灯は規格が小さい(特に奥行き)ので、いろいろ入れようとするとぎゅうぎゅう詰めにならざるを得ないです。とは言っても小さく作ったり体の線を細くするのは逆効果なので、難しいところです。
あとは書き割りや配色ですね。針金で作り込めない(作っても無駄な)凹凸は、書き割りや蝋書き、配色に頼ることになります。
言葉で説明するのは難しいのですが、その方向から見たときに一番よく見える、迫力がでる、とかでしょうか。
例えば、下の二つの行灯
は勢いの向きが向かって右で、これ以外のほぼすべての行灯は勢いの向きが正面か向かって左です。
他の記事でも散々言われていることですが、行灯全体の勢いの向きは必ず正面から左にしましょう。
下の写真で言うと緑の方を向くこと。赤の方は向かない。
これはねぶたとの違いで、ねぶたは基本的に前に進んでいくので、勢いの向きは前向きになっています。行灯では向かって左に進んでいくので、左(正面でもOK)にします。
なぜ左向きにするかというと、勢いの向きが右に向いていると、行灯が後ろを向いた状態で近づいてくるようになってしまいあまり良くなく、左にすると行灯が観客の方へ向いてどんどん近づいてくる感覚があるからです。
メインとなる物体が2つあるような行灯では、1体がもう一体の方を向くようにするか、それとも観客に向くようにするか、それとも全く別の方向を向くようにするのか、というのもあります。
これはその行灯が表す場面に依存するところが大きいです。というか、これで行灯が表す場面、例えば二体いたらそれらは戦っているのか、共闘しているのか、などを表現することができると思います。
例えば、2014年の消防第二分団のねぶた『那智の滝「文覚と不動明王」』は、滝が龍の形になって文覚(左側の人)に襲いかかる場面(ねぶた中継の解説より)なのですが、すべての龍が文覚に向いていることでそれを表しています。
これらの龍がもしすべて右の不動明王に向いていたとすると、文覚が龍を操って不動明王と戦うというまったく別の、そして伝説に合わない場面を表すことになってしまいます。
次に人物や動物のポーズについて見ていきます。工夫次第でとても迫力のある構図になります。
昔は全身を入れるのが普通でしたが、56th あたりから体の一部分を土台に埋めている行灯が増えてきて、今では埋めるのが一般的になりました。
全身をいれるのと一部分を埋めるのでは、もちろんそれぞれメリットとデメリットがあります。題材に合わせてどちらにするか選択してください。
[メリット]
[デメリット]
デメリットの“ノウハウが失われている”のところ、特に65thがそうなのですが、せっかく脚を入れていてもとても貧弱で不自然なものになっているので、これだと全身を出すメリットは活かせないです。全身を出すことでどのような構図になるかが、例が少ないおかげでわからないからかなと思ったりしました。
[メリット]
[デメリット]
個人的な意見としては、体(下半身)を埋めるのは体や顔をバカでかくする以外はしないほうがいいと思います。腕まで埋めてしまうのはよくないのでやめましょう。
最近の行灯で、一部分を埋めるメリットを効果的に使っているものはほとんどないです。
あとは人の体勢がわかる構図にすることが重要で、人の姿勢がわからない行灯は、「なんだかよくわからない行灯」という印象を与えてしまいます。一部分が埋まっている行灯はこの傾向が強い気がします。
行灯は縦横の2次元ではなく、奥行きがある3次元です。
物体が3次元空間のx軸, y軸, z軸のどれかと平行になってしまうと、整いすぎている印象になってしまい動きを感じさせにくいので、できるだけ平行にしないようにしましょう。
特に奥行きを上手く使った体勢にすると、立体感がでます。
よくあるものとして、下半身を土台に埋めている行灯は胴の部分が土台に垂直になってしまっていることが多いです。このような行灯はあまり動きを感じないので、特に何もこだわりがなければ胴の部分を斜め前に傾けることを検討してください。
ある物体をどの場所に置くかという問題があります。例えば、中央あたり、上、下、周り、側面…などなど。
基本的には行灯があらわす場面を一番効果的に見せられるところならどこでもいいと思っていますが、少し注意点があります。
下半分、特に土台の近くにはメインとなる動物や人間の顔などを置かない方がいいと思います。というのは、「大きく見せる」のところで書いたこともありますが、土台の近くにものをおくと担いでいる人の頭が邪魔してあまり見えないからです。最悪物体があることにさえ気がついてもらえません (実際に気づかないことが数回ありました)。
おそらく観客の視点は上の写真の青いところ以外には滅多にいきません (要検証)。
顔は上に、かつ前の方にすると行灯全体が大きく見えるとのこと(テレビのねぶた特集より)。前方上半分の部分にあるようにするといいと思います。
また、顔は余程な理由がない限りは必ず下向きにつけましょう。顔が上を向いていると、観客から (下から) 見たとき間抜けな顔に見えてしまいます。
ただし注意点として、顔だけ下に傾けてしまうと躍動感もなく首が折れているように見えてしまうというのがあります (下図の左)。
申し訳ないのですが例を出すと、62nd3-2や64th3-6がこのようになってしまっています。
胴も斜めに傾けるとこれはなくなります (図の真ん中)。さらに前後の角度だけではなく横の角度も少し工夫するとそれだけで見違えるように躍動感が出ることが多いです。
ねぶたでは顔の角度よりも胴を傾けています (図の右) が、これはねぶたの奥行きの長さによるもので、奥行きがない北高行灯ではこうすることは難しいです。奥行き1.8mだけじゃなくて横幅4.5mを借りる感じに斜めにすればいけるかなと思います。
手はできるだけ大きくしたほうがいいという人がいますが、私はそうは思いません。これは意見が分かれそうです。というか北高行灯では私のほうが少数派だと思います。
ねぶただってそんなに大きいわけではないし、なにより手を大きくすると他のパーツとのバランスが崩れます。何か武器を持っていたらそれまで大きく(太く)しないといけなくなります。これが、北高行灯の武器は無駄に太い (57thあたりだけ?) ということの要因の一つになっているのではないかと思っています。
手が通常サイズの行灯として51st 3年金賞がありますが、迫力がなく見えますか? この構図で手を大きくするとバランスが崩れ、不自然に見えると思います。
実際に作るときも弊害があって、腕に比べて手が大きいと、接合とかバランスの調整とかがいろいろやりづらいんですよね。手首を異常に細くしなくてはいけなくなって、せっかく実物の手に似せて作ったのに作り直しとかがよくあります。
素手の場合だと大きくしたほうが迫力がでるので、作るものによるかもしれません。
電飾ができない部分(小さかったり複雑だったり)が出ないように気をつけましょう。電飾と要相談です。
支柱が丸出しにならないように気をつけましょう。
配色は超重要で、題材・配置を活かすも殺すも配色次第です。
書き割りというのは、墨で色の境界や物体の境界を割ること、もしくはその線のことです。
書き割りは北高行灯では軽視されているように思いますが実際はかなり重要で、例えば何も色を塗っていない紙を貼っただけの行灯でも書き割りがあるだけで全然違った印象になります。
(TODO)
(TODO)
原色は51stの行灯の作り方の記事で「原色を使うとおもちゃっぽくなる」と書かれているように基本的には避けたほうがいいと言われていますが、ねぶた師の北村隆名人がこちらの動画で言っているように原色こそ重要という考えもあるようです。
ここがおすすめ: http://nipponcolors.com/
(TODO)
傑作と言われる行灯にはテーマカラーがあるような気がしています。
例えば、49th大賞のシャクシャインは金、55th大賞の土蜘蛛は肌色-オレンジ-赤-黒、60th大賞「魄焔」は赤黒金、そして一番印象深く成功していると思われるのは56th大賞「洛水の女神」の淡い水色と桃色です。
こんなかんじでメインとなる色を2,3色決めるのもいいかもしれません。
で、このようなメインとなる数色を決めるのはデザイン系では一般的みたいです。
カラースキームとかで検索するといろいろでてきます。
(TODO: おすすめサイト)
本来濃い色と暗い色というのは全く違う意味ですが、この節では、「濃い色・暗い色 = 夜光ったときに暗く見える色、もしくはそのような塗り方をしている紙」とします。白でも厚く塗っていれば夜暗く見えてしまいますし、黒でも水を加えて薄く塗れば夜光ったときは明るく見えます。そんなかんじのゆるいイメージでお願いします。
最近(65thなんかは顕著ですが)暗い色・濃い色を使う行灯が増えてきました。たぶんねぶたで濃い色を使っているからだと思います。
濃い色・暗い色を使う際には、工夫をしないと高確率で失敗します。
というのは、
からです。
1番については練習しかないので、2番についての回避策を説明します。
先程も言ったように、ねぶたは濃い色もよく使います。でも2番のようなことはありません。これはなぜでしょうか?電飾がすごいから?色の調合がすごいから?
私は、電飾がすごいからでも色の調合がすごいからでもなく、少しの工夫によるものだと思っています。そしてこの工夫は北高行灯でも十分使えます。
その工夫とはなにかということですが、ねぶたをよく観察してみるとわかると思いますが、濃い色を使っているところはほぼ例外なくロウを使っているか書き割りがきちんとなされています。
もうちょっと具体的に言うと、濃い色の部分では以下のものが使われています。
ろう点というのは、そのまんまですが、ろうで点をうつことです。
65th3-8や59th3-2などがろう点を使っています。特に65th3-8はかなり色が濃いのでろう点がないと形がわからなくなっていたんじゃないかと思います。
濃い色のなかに明るい柄を置くと、メリハリが付き、かつ柄が目立ちます。
これが重要です。これが北高行灯とねぶたとの一番の違いなんじゃないかと思っていて、これを完璧に行うことができれば、歴代行灯の中で一位というのも狙えるかもしれません。
どうして北高行灯では行われてこなかったのか、ということですが、これは後塗りが必須になるからです。
書き割りとは、服のシワ等の、境界となる部分について墨で境界を割ることです。
ろう書きも境界を割る働きがあります。こちらは墨(黒)とは違って透明(白)で割ることになります。また、ロウは水を弾くので色をにじませないという効果もあります。ろう書きは通常は書き割りの隣に施します。
グラデーションはわかると思いますが、ある色と別の色を滑らかにつなぐことです。
暗い色のなかで境界線をわかるようにするには、下の画像のようにします。書いた墨と隣接する部分は必ずグラデーションをかけるかろう書きをして境界がわかるようにしましょう。
比較として、暗い色の上にそのまま書き割りをした画像を載せておきます。これは書き割りの意味がほとんどありません。
以上のことをやれば形がわからなくなることはないと思います。しかし、これらの技術を完全に適用するにはちょっと時間的に、技術的に難しいこともあると思います。これらの技術を一切使わない場合は、濃い色を隣接して置かないこと、濃い色の周りには明るい色を置くことを意識してください。こうすればある程度は2番の問題を回避できると思います(もちろん、上の3つをやったほうが圧倒的に綺麗になります)。
よくあるパターンとして赤と青の対比がというものがあります。
行灯だと57th大賞や60th大賞、
ねぶただと2006年ねぶた大賞の北村隆さん作日天水天などがあります。
同じ系統の色の違う物体に対して使うと、色が同化してしまい、別の物体に見えない、もしくは目立たず最悪気付かれないことがあります。
色の同化現象については御家人さんによる行灯大賞のすすめでも触れられています。
これを避けるためには、以下のように配色すると同化が防げます。基本的には1,2,3の順で優先していきたいところです。何も対策しない場合は必ず同化が起こると思ってください。
また、昼に違う色に見えても、光らせたとき同じ色に見えてしまうということがかなりよくあるので気をつけてください (逆に、同じ色に見えても光らせたとき違う色に見えることもあるので、色塗りの際は透かしてよくチェックしてください)。
これ以外の、気をつけておきたいことについて書いていきます。
曖昧なところがあると、絶対に作業期間中にそこで詰まります。どう作ればいいかわからなくなったり、適当に作ったとしても「自分のイメージではこうだと思っていたけど、他の人のイメージではこうだった」ということになりやすいです。
構図がある程度出来上がった後に曖昧になっている部分というのは往々にして考えるのが難しく気が乗らない部分なのですが、そこから逃げずに作業開始までにはすべて潰しておきましょう。
よく曖昧になっているところ
これは行灯に限らず何事にもあてはまるのですが、80%までできたと思ってからが長くて、そこから残りの20%を埋めるためにはそれまでと同じ時間かそれ以上かかってしまいます。考えなければいけないことは無限に湧いてきます。作業期間が始まってから悩まないようにするために、脳内シミュレーションをしっかりしておきましょう。
構図は客観的に考えるということが重要です。何かものを作ったりデザインをしていると、客観視することができなくなっていきます。ときどき、その構図に至った経緯 (つまりその構図についての前提知識) をリセットして構図を見てみましょう。改善点が見えてくるかもしれません。
また、行列では観客・審査員ともに斜め下から行灯を見ることになるので、粘土などを作る際は、斜め下から見たときに最も良く見えるようにすることをこころがけましょう。
また、観客は思ったより1つの行灯を見る時間がありません。行灯の正面を見ることのできる時間は約5秒ほどです。この時間で行灯の場面・人の体勢などを理解できるような構図にしましょう。
さすがにまったく同じ作品を作るのはなにか言われる可能性が高そうですが、そうでない場合はこれについては全く気にしないほうがいいです。(ちなみに自分は過去の行灯やねぶたをリメイクした行灯を見てみたいのでパクってもいいじゃん派です。44th3-1とか54th2-4は過去のねぶた大賞のリメイクですが好きです。)
そもそもどこからが「似ている」ことになるのか、というのも曖昧ですし、少しの一致だけで似ていることになるなら過去数十年分の行灯やねぶたの情報が蓄積されている現在ではほぼすべての行灯がパクリになってしまいます。例えば、58th大賞は55th大賞と似ているということがよく言われていましたが、人間が横を向いているとパクリになってしまうなら、もう横を向いた構図は作れません。こういうことを言われると新しい構図が出るたびにその構図が使えなくなり、構図の幅がどんどん狭くなってしまってよくありません。
また、他クラスの行灯と似てしまっていることが判明したために構図を変えるということもしなくていいです。それが妥協の変更ならその時点で負けているようなものです。少し似ているからと言ってまったく同じような行灯になってしまうことはまずないので、気にする必要はありません。
要するに、自分たちの構図に制限なんてかけずに、もっと自由に考えて、自分たちが一番いいと思う構図にしましょう、ということです。結果として過去の作品とどこかが似てしまったら、それはもうしょうがないものとするほうが健全です。
「神は細部に宿る」という言葉があります。『素晴らしい芸術作品や良い仕事は細かいところをきちんと仕上げており、こだわったディテールこそが作品の本質を決定する。何ごとも細部まで心を込めて行わなければならない』という意味です (引用)。これは行灯にも言うことができて、ちょっとした角度や色、柄、書き割りなどで印象がガラッと変わってしまうことがあります。特に変わりやすいのが目で、本当にちょっといじっただけでまったく違う印象になります。
構図を話し合う際のおすすめのやり方です。実際に行灯でやったわけではないので本当にいいかどうかはわかりませんが、これらは私が大学院のPBL (Project Based Learning) という授業でやったことの内容も取り入れているので、別にこの通りにする必要はないですが、そこそこいいんじゃないかと思うので参考にしてみてください。
また、(1時間) とか書いてあるのはこのフェーズにかける時間の目安です。けっこう長めにとってありますが、これ以上だらだらやっても意味が無かったりするのでテキパキやっていきましょう。
以上で6月の作業開始までかなと思います。
以上いろいろ書いてきましたが、これらは今まで僕が北高行灯や各種ねぶた祭りのねぶたを見てきて良いと思った作品の共通点を洗い出したものになっています。
私はご存知のようにねぶたが大好きでねぶた至上主義のようなところがあり、この記事もねぶた系の構図を推奨するような内容になっていますが、だからといってねぶたのような構図でないといけないとはまったく思っていません。
ねぶたの構図はそのすべてが考えつくされていてとても素晴らしいですが、伝統を重視するあまりどうしても似たような構図・配色・柄になってしまっているような印象を持っています。もちろんその範囲内で斬新な作品も出てきますが、伝統の範囲を大きく逸脱するようなねぶたは出てきません。
北高の場合はねぶたとか北高の伝統とかあまり気にせず自由に作ってもらって構いません (少なくとも私はそう思っています)。ねぶたが出来ないような、ねぶたの伝統の範囲外に出るような作品が出てくることを、私がそのような発想力を持っていない分切望しています。
基本に忠実な行灯も良いですが、自由に考えた常識にとらわれないまったく新しい構図で、かつ高い技術力によってそれを効果的に見せている行灯の方が、普通の行灯に若干の飽きがきている私は絶対に評価します。
まあでも最終的にはここに書いてあることは全部無視して、自分たちが一番納得できて一番好きで一番作りたいと思えるような構図にするのがいいと思います。
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